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デビューから2年半。ZYUN.の1stフル・アルバム『registry』が完成した。全楽曲を手掛けるクリエイターとして、楽曲に命を吹き込むボーカリストとして、アートワークも含めその全てを発信する表現者として、全方位からその才能が発揮された本作。新たな世界観を切り拓いた新曲や音楽の原点だと語るデビュー前の楽曲、ファンと共にライブで愛情を注いできた曲など、現時点での集大成というべき内容になっている。
Photo:笹原良太 Text:山田邦子

──待望の1stアルバム『registry』が完成しました。



「このアルバムは、俺の頭の中や心の中にあるデータベースというか、ハードディスクの本当に一番奥深いところにあるものの扉を開けてみたら、こういう曲達がありましたよっていうものになってます。先がないという意味ではなく、現時点での集大成」

──ワードとしては、PCを使っている方には馴染みがあるかもしれないですね。



「まさしく。僕が以前やっていたバンドは音楽の原点でもあるんですが、自分の中である意味決別ができなかった部分があるんです。今回そのバンドの時に作った曲も収録されているのは、敬意を払い、いい意味での決別をしてちゃんとこの先に繋いでいきたいという、個人的にはとても重い意味が込められていたりもします。昔から応援してくれている方々にとっては、曲だったり、歌詞に出てくるワードだったり、色々とピンとくるところが多いかもしれない。逆にデビューしてから出会ってくれた方々にとっては、俺の今までというか、今日まで生きてきた僕──音楽家としてのZYUN.を知ってもらえるアルバムになってるんじゃないかなと思います。結構好き勝手にやらせてもらったし、本当に出し切ったなという感がありました」

──今回のリード曲は、タイトル曲の『registry』です。

「最初は『ミカヅキ』がリード曲になる予定だったんです。俺自身はどれがリードになってもいいと思って、いつも最高のものを作ってるから正直どの曲でもよかったけど、ライブでもずっとやってきてるし、いいんじゃないかなってことでまとまってた。でも俺の中になぜか12曲入りにしたいというこだわりがあったから、レコーディングまで間もなかったけど、もう1曲書き下ろすことにしたんです。それが『registry』。この曲が生まれた瞬間に“あ、完全にリード曲だな”って確信できたくらい、群を抜いてたんですよね」



──それでリード曲になり、アルバムの幕開けを飾るトップバッターとなり、アルバムのタイトルにもなったと。

「この曲は、未来のZYUN.。僕は常に自分の人生の最先端で、一番新しい深いものを作ってきてたんだけど、この曲は、トップバッターとして打席に立ったその背中を、ちょっとだけ向こうの未来から見せてくれてるような気がするんですよね。だから曲順も、1曲目からだんだんと現在に戻っていくようなイメージ。2ndシングルの『雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。』が1stシングルの『最初を見逃した映画みたいなこの世界で ~Emotion Rain~』より先にあるのも、そういうことなんです」

──その2ndシングル『雨の日に逢いたくなるのはいつも君だけ。』もそうでしたが、映画監督の堤 幸彦さんがMVを手掛けた1作目である『体温』がようやく収録されました。

「曲もずっと前からライブで歌ってたし、レコーディングもしてたし、MVもだいぶ前に撮ってもらってたんだけど、事情よりも愛情を大切にしたかったのでこのタイミングでの収録になりました。このアルバムの中で唯一、デビュー前の声。今ならもっと深く歌えるけど、過呼吸になりながらも1テイクで終わったあの時の歌だし、堤監督との出会いや撮影の時の奇跡的な天候のことなんかもここから始まったわけだから、そのまま使うことにしたんです」


※続きは月刊Songs2018年12月号をご覧ください。

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