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KOKIA初となるライブ・アルバム『COLOR OF LIFE』。昨年4月に行なわれた15周年記念コンサートの模様を収めたもので、包み込まれるような音の温かさと、息づかいまでもが聴こえてきそうな緊張感が心地良い2枚組だ。彼女の音楽を共に作り上げてきたパートナーとの別れという悲しみをどう乗り越え、あの素晴らしい一夜に辿り着いたのか──。現在、ロンドンと日本を往復しながら音楽制作を続けている彼女が、自身のスタジオで語ってくれた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──ちょっと意外な気もしたのですが、KOKIAさんにとっては初めてのライブ盤だそうですね。

「そうなんですよ。結構ファンの方からも“何でライブ盤を出さないんですか?”“出してください!”って声はすごくあったんですけど、15年間何故だかタイミングがなかったんです。今回は満を持してというか、きっとこの15周年のタイミングまで待ってたのかなって感じがしています」

──この時のコンサートには私もお邪魔しましたが、あの日の感動が生々しく甦ってくる一方で、CDならではの“音”そのものを楽しめるものになっているなと思いました。

「最初は“ライブ盤ってどんなものに仕上がるんだろう!?”と私自身も思っていたんです。でも(結果的には)、先に発表したこのコンサートのライブDVD(※コンサート会場と、オフィシャルサイト内での限定販売)とはまた違って、想像をかき立てられるというか、すごく音に集中できるものになったなと思いました。今回、(レコード会社が)すてきなキャッチコピーも付けてくださって」



──“それはまるで、耳で観るコンサート”ですね。

「まさにその通りになったなぁと。会場でお聴きいただいていても席の場所によって聴こえ方は様々ですし、もっと細かく言えば私がステージ上で聴いている音とお客様が聴いている音も違う。空気感とか臨場感はパフォーマンスの中に凝縮されていると思うんですけど、音のバランス感という意味では、全く別物として聴いていただけるものになったんじゃないかなと思います」

──チケットが手に入らなかった方、また、海外のファンの方なども発売を楽しみにされていたと思います。

「ありがとうございます。本当はもっとたくさんコンサートができたらいいんですけど、なかなか難しくて…。それに思ったんですけど、30箇所とかたくさんコンサートをこなすようなことって私には難しいだろうなって。予定調和というか慣れっこになってくると、“何か違う”と思っちゃうタイプなので。コンサートは1つ作るのにもすごく時間がかかるんですね。もったいないけど、数少なく終わるのが桜のようでいいなというか(笑)」



──この日のコンサートもまさにそんな感じでしたね。

「準備にはとても時間がかかったし、自分のエネルギーをそこに持っていくのも本当に大変なステージだったんですけど、だからこそ良かったというか。もともとライブ盤にする予定でやったステージではなかったので、こうしてライブDVDやCDに残していけるのは何だかすごく意味を感じるし、“やって良かった”って本当に思いました。私がデビューしたのはバブルの最後の時期なんですけど(笑)、最後のデビュー組として同じ年にデビューした方ってすごく多いんですね。この15年間の間にたくさん活躍された方もいれば、いなくなってしまった方もいて、それぞれの15年間がある。当たり前の話だけど、私には私にしかない15周年が待っていたなぁって思わざるを得ない試練の多い1年だったので、何というか、やっぱり全部に意味があったんだなぁって今は思っています」

──状況をご存じの方も多いと思いますが、KOKIAさんにとっては大変な1年でもありましたからね。

「精神的に極限状態で向かったステージでもありましたから、歌えるかどうかも分からないような感じだったんですよ。歌って、自分の心が開けていないと人に想いを伝えるなんて無理ですからね。だけど思っていた以上にちゃんと歌えたし、終わってみればその歌がすごく良かったので自分でもビックリしたんですよ(笑)。『moment〜今を生きる〜』や『where to go my love』という曲は、ステージの中でも軸になってくる曲だなって思いながら選曲したんですけど、それらいくつかの曲は、歌ってみたらレコーディングよりもいいテイクになった(笑)。その歌で表現したかった気持ちが、あの時の私の状況に重なり合ったこともあってか、より一層あの日の歌に深みを与えてくれたんですよね。素敵なパフォーマンスをお届けすることができたなぁって」

※続きは月刊Songs3月号をご覧ください。

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