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17歳で発表したデビュー・アルバム『LEO』(2012年10月)、そして今回、19歳になったばかりの彼女が作り上げた2ndアルバム『a boy』。本人も「ちゃんと進化できた1枚になった」と胸を張る本作は、シンガーとしての表現力を高め、ソングライターとしての振り幅を広げただけではなく、カウントダウンが始まった10代最後の年を生きる自分自身の変化をリアルに刻んだ1枚だ。子どもから大人へ、踏み出した一歩の重みをじっくりと語ってくれた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──とてもエネルギーに満ちたアルバムになりましたね。自分自身に対してもすごく挑戦しているし、ヘンな言い方ですけど、レオさんの中にある血とか肉とか、そういうリアルなものの手応えを感じられた気がしました。

「それはすごく嬉しいです。ちゃんと進化できた1枚になってるかなと思いますね」

──1stアルバム『LEO』からはどんな変化が見えてます?

「大っ嫌いだった大人に、自分がなろうと思った。そこがすごく大きく変わったと思います。私、大人が嫌いだった時期があって、でも放っておかれるのもイヤで、すごく駆け引きをしてたんですよ。で、最後は大人が手を引っ張って出口の外まで連れてってあげようって言って走ってる時に、いつも手を振りほどいて、傷つけて、裏切ってしまっていたんですね。だけど、最初は大人のことを大嫌いだったはずなのに、最後は大人に片思いしているような気持ちしか残らなくて、悲しさというか切なさというか、そういう感覚を覚えたんです。それが自分の葛藤に繋がって表現したのが、1stアルバムの『LEO』だったんですね」



──はい。

「その曲達を1stのツアーでやるのが最初はちょっと怖かったんです。自分の弱さを全部表現して、それに直で反応が返ってくるから。ライブって、何もフィルターを通さないですからね。でも、そこで“大丈夫、勇気を持とう”と思って全部表現したら、受け入れてくださっている方達の姿があったんです。その時、生まれて初めて心が震えたんですよ。“私、この景色を守っていきたい”って本当に思った。悲しいけど、大切なものって子どものままじゃ守れないんですよね ──社会的にも現実的にも。守りたいものができたから大人になろう、そう思って作った楽曲が入っているのが、今回の『a boy』というアルバムなんです」

──とても大きな変化があったんですね。

「それだけ1st〜2ndツアーで得たものが多くて。特に2ndツアーでは、“私、やっぱり音楽が大好きだ”って心の底から思えた瞬間が何度もあったんです。だからこそ、大人になろうって思った時に、キレイなことばっかり受け入れていくんじゃないよなって思ったんですよね」

──というと?

「例えば映画とかで15禁とか18禁ってありますけど、何で制限がかかっているかというと、まだ知らなくていいダークな世界だからって言われている気がするんです。だけど私は、それもどんどん見て知っていかなくちゃいけない、受け入れていかなくちゃいけない立場になってきているんだと思った時に、キレイな楽曲ばかりじゃなく、ヘヴィーで、ちょっと“え!?”って思われるような楽曲も入れていくことが、本当の意味で私が大人に一歩踏み出したって意味になると思ったんです。先ほど“挑戦している”って言われましたけど、自分でも本当にその通りだなと思うんですよね。綺麗事ばかり言ってたら、それってきっと子どものままだなと思うし」



──言葉の面でもサウンドに関しても、これまでにない切り口がハッキリと打ち出されていますよね。

「楽曲に対する考え方もすごく変わってきました。1stではどうしても“自分が叫びたい!”っていう気持ちがすごく強くて、(自分の言葉とメロディーで)自分が表現したいものしか歌いたくない、妥協したくないって思っていたんですね。でも、上手く言えないんですけどライブをした時に、“ちゃんと自分が歌えると思った曲は歌える気がする”って思ったんですよ。一番大切なことは、いい作品を残していくことだってやっと歩み寄れた。私が歌っている時点で“私の思い”だし、“私なんだ”ってちゃんと思えたんですよね」

──表現の幅も広がるし、それこそ挑戦という意味でも、新たな魅力が引き出されることになりますね。表題曲の『a boy』もそういう1曲なんでしょうか。

「これは、すごく作れたことに意味があるなという1曲です。以前の自分だったら、“欲しい”と思ったものが与えられないと、自分じゃなくて周りに原因があるって思っていたんですね。だから周りをすごく責めてたし、傷つけてた。でも自分が“大人になろう”って一歩踏み出せた時に、“あぁ、私ってただの努力しないわがままな子どもだったんだ”って初めて客観的に見ることができたんです。自分と同じようにもがいている人、そして過去の自分に向けて思いを伝えたいなと思って作りました。自分が当時かけて欲しかった言葉を綴った1曲です」

──アルバムのタイトルにもなっているわけですが、『a boy』という言葉にはどんな思いが込められているんですか?

※続きは月刊Songs3月号をご覧ください。

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