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言ってみれば本気の草野球みたいに熱量が高い──と、アルバム制作に取り組む活性化した気持ちを語っていたスキマスイッチ。このたび完成した6枚目のオリジナル・アルバム『スキマスイッチ』は、その予告通り音も言葉も声も、全てが活気に満ちた作品だ。デビュー10周年イヤーを経て、3年振りに自分達の新しい音楽と向き合った2人が作り出したものは、裏も表もどこから見ても、どこを切っても、紛れもなく“スキマスイッチ”としか名づけられない音楽として完成した。
Photo:駒井夕香 Text:前原雅子

──『Ah Yeah!!』(2014年7月)のインタビュー時に“とにかく曲を作りたい! っていう気持ちが強い”と言っていましたが、その勢いのまま制作に入った感じですか?

大橋卓弥(以下、大橋)「そのつもりだったんですけど、それが僕はつまずいて(笑)。たまに、曲を書いても書いても“いいのか悪いのか、よく分からない”みたいなモードになることがあるんですけど。自分の曲だけじゃなく、好きな曲を聴いても、何か感情が高ぶらないというか」



──ビートルズを聴いても。

大橋「あ、ビートルズだなっていうくらい、別に何とも感じない(笑)。でも経験上、そういう時は何もやらずにいるよりは、曲を書き続けちゃったほうがいいので。まぁ書いても、できたものに対して感情は高ぶらないんですけどね」

──そうなる理由に心当たりは?

大橋「たぶんちっちゃなことなんだと思います。例えば曲を作るのを楽しみにしてたのに、“あれ!? 思ったよりしっくりこない”って瞬間に、自分で作った落とし穴に自分でハマっちゃう、みたいな」

常田真太郎(以下、常田)「今回は『星のうつわ』の時も、だったよね」

大橋「あ~、そうだった。去年の終わりはノリノリだったんですけどねぇ」

常田「難しい人かよ(笑)」

大橋「これがねぇ(←人差指でアップダウンをなぞる)。去年の年末に『ゲノム』とか『life×life×life』とかをノリノリで書いていたのが、年明けにはヘンなモードになっちゃってて。でもネガティブな感じじゃなく、自分でハードルをどんどん上げていってるようなところがあったんですよね。にもかかわらず曲は書きたくなるので、それも含めて、ある意味楽しんでやってました」

──そのモードは、わりとよくあることなんですか?

大橋「ありますね。前作の『musium』(2011年10月)は、何のストレスもなく“あ、でき上がった”っていうアルバムだったんですけど。それに比べると今回のほうが、“作ったな~”っていう感じはありますね」



──そういう時、常田さんは横で見守るしかないんですか?

常田「ですね。“あ~、分かんないんだなぁ、曲はできてるのになぁ、分かんないんだなぁ、いいのになぁ”みたいな(笑)。だからいい曲は、あとで“やろうよ”って言ったり、先にアレンジや歌詞を考えて手を付けちゃったり、ゴリ押ししてやることにしたり。それでも乗ってこない時は、ボツになりますね。でも『星のうつわ』は“もう無理だわ、何とかして”って言われて。ただ、その時は僕自身も、何かピンときてなくて」

大橋「そうそう。シンタ君(常田)、最初は“う~ん、作るか…”くらいの感じだったもんね。だけど何か手応えはあったんですよ、この曲。いや、これ絶対良くなるって思って。で、シンタ君に任せたっていう」

常田「あれこれ考えてるうちにコードを変えてみたら、“これ、いいじゃん”ってことになって。そこからエンジンがかかったっていう、ちょっと珍しいケースでしたね」

大橋「コードが変わった瞬間、ふわっとこう、扉が開いた感じがして。でも、『星のうつわ』はホントにスランプだったのかもね」

常田「そうかも。歌詞もそうだったからね」

──この曲は、とても大きなテーマを歌っていますよね。

大橋「人間愛みたいな、大きな愛をテーマに書くといいんじゃないって話していて。で、シンタ君が叩き台の歌詞を書いたんですけど、珍しく“ちょっともう一回、もう一回”って全部書き直してましたね」



──2人とも、つまずいた曲だったと。

常田「頭の中ではでき上がってるのに、それが上手く歌詞にハマらなくて。この曲はメロディーが短いので、思ってることを乗せようとするとメロディーが全然足りないんです。かといって収めようとすると、説明しすぎて歌詞じゃない…ってことになって。頭の中ででき上がってるのに形にできないことが口惜しくて、何度も書き直しましたね」

※続きは月刊Songs12月号をご覧ください。


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