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“大切なものを4つあげる 愛、思想、時間、体” ──全身全霊の覚悟を込めた黒木渚のニュー・シングル『君が私をダメにする』がリリースされた。タイトル曲を含め、収録曲の全てがラブソングという本作はどんな過程を経て完成したのだろう? 自身の恋愛観から右脳左脳の活躍ぶりまで、興味深い話を聞かせてくれた。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──今回のシングルで、恋愛にフォーカスしたのはどうしてだったんですか?



「これまで『革命』(アルバム『標本箱』に収録/2014年4月)、そして『虎視眈々と淡々と』(3rdシングル/2015年1月)で強い女を書いて、タフに生きていくぞ! ということを歌い続けてきたんですね。そういう強い女も含め、人間が無敵になるには何を得ればいいんだろうということを考えていた時に、理由として恋愛は絶対あるなと思ったんです。恋愛にハマると、無敵モードになっちゃう女の子って多いじゃないですか」

──間違いないですね(笑)。

「恋が上手くいっていれば何でも上手くいくみたいなモード、ありますよね(笑)。ああいう気持ちを書いたら楽しそうだし、季節ももうすぐ夏だしと思って。聴いてどんどんハイテンションになって盛り上がって、次の季節を迎えるぞ! みたいな曲も1つ欲しかったんですよ。で、『君が私をダメにする』がまずできたんですけど、このままハッピーエンドで終わるのは癪だなと思ったんです。黒木渚としては。短命な恋もあれば、じっくりあっためる恋もあるし、ずっと一緒にいても手探り状態が続く愛もある。そんなふうに考えながらたくさん書いたラブソングの中の4曲なんです」

──そうやって恋愛モードで曲を書いている時、強い女は一旦置いとく感じですか。



「共存状態…なのかな。強い女って、往々にしてダメ男に引っかかりがちみたいなところ、ありません(笑)? 気を張って生きていて、普段はカワイげがなかったりするんだけど、ダメ男というか、すごく優しい男にちょっとだけ甘やかされることが強さの秘訣みたいなバランスだったりして。私もそのタイプなんですけどね(笑)。キャリアウーマンでバリバリ頑張っている人ほど、実はカワイらしい恋愛をしていることが多い気がするんですよ。そこが人間くさくもあるというか。仕事もプライベートも完璧を求めていたら、結構ツラいというか、ボキッと折れちゃいそうですよね」

──そういった強さが根底にあると思って聴くと、今回の4曲の主人公達がより生き生きと見えてきますね。どれも個性的すぎるくらい個性的で(笑)。

「そうですね(笑)」

──『君が私をダメにする』の主人公はすごくピュア。

「全身で恋愛を楽しんでいますよね。“会社を休んでクラゲでも見に行こう”なんて言い出す男は絶対ダメなんですけど(笑)、そこに飲み込まれていきそうっていうギリギリのラインにいる自分が、それごと好きだみたいな。結構若い恋愛の感覚ですよね。でもきっと、みんな一度はこういうズブズブな恋愛って経験したことあると思うんです。私もあるし、おまけに私はそれを丁寧に日記につけていたからこうやって今、掘り返して書くことができてるんです(笑)。普通に日課としてつけてただけですけど、音楽家になったからそれが重宝してるっていう」



──どこで何が役に立つか分かりませんね(笑)。サウンド面からも、恋をしている時の感情がダイレクトに伝わってきました。

※続きは月刊Songs7月号をご覧ください。

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