http://www.kiyokiba.net/
亀田誠治とタッグを組んだ前作『軌跡』から2か月弱というスピードで届けられた、清木場俊介のニュー・シングル『蜉蝣〜カゲロウ』。短いその一生をどう生きるのか、情熱的な男の生き様が浮かび上がるこの曲は、ライブでも盛り上がること間違いなしの疾走感溢れるロックチューンだ。カップリングも含め、唄い屋・清木場俊介の真髄を伝える3曲についてじっくりと話を聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──前作が6月でしたから、ハイペースでのリリースですね。



「そうですね。でも作ってるほうとしては、あんまり関係ないんですよね。いわゆるシングルって、アルバムに収録する曲を作っていく中で決まっていくものだったりするし、僕は“これはシングルです”みたいな作り方をしないので」

──でもこのスピード感は、ファンの方にとっては嬉しい限りだと思います。

「シングルというものを出せること自体、僕らにとっても嬉しいというか、幸せなことでもありますしね。配信だなんだって(時代に)なってきてる中、パッケージで出せる喜びは大きいですよ」

──その新曲『蜉蝣 〜カゲロウ』ですが、清木場さんの新しい魅力が引き出された前作の『軌跡』から一転、清木場俊介のど真ん中といった楽曲になりましたね。

「そうですね。僕の中では王道的な、ライブでも唄いやすい曲になったと思ってます。考えてみたら最近アップな感じの曲ってなかった気がしたので、こういうの、久し振りにいいんじゃないかなってことで」

──季節的にもバッチリなタイミングだなと思いますが、清木場さんは楽曲を作る上で季節感っていうのも気にされるほうですか?

「冬は特に考えますね。冬はやっぱりバラードなイメージだったりするから。夏はあまりこだわったりしないけど、どちらかと言えば、バラードよりロックがいいかなと思いますよね」

──今回の曲も疾走感たっぷりです。

「この曲は本当に、全てがスムーズにいったんですよ。曲も詞もレコーディングも。生みの苦しみがなかった」

──生みの苦しみもなくこの歌詞が書けたということは、作詞家としてストーリーを描いたからか、清木場俊介としての実体験が元になってるからか…?

「これは完全に物語として、ですね。自分の中でイメージしていた映像を、言葉にしたんです。曲を聴きながらね。前作の『軌跡』もそうでしたけど、書ける時はスッと書けるんですよ。当たり前だけど、書けない時は書けない(笑)」

──なるほど(笑)。

「今回は、蜉蝣の一生というか、本当に短い一時(いっとき)の一生をひとつの人生と例えたら、ものすごく早く、熱く、情熱的に生きなきゃキツいだろうなって、そういうところからイメージしていったんですよ。人の愛に例えてね。Aメロを聴いた感じからすでに、ちょっと儚く苦しい唄にしたいなというのがあったから。でもそんなに考えて書いてはいないんです。さささ〜っとね、5分10分で書いたやつなので(笑)」

──5分10分って(笑)。

「いや、本当にね、リアルじゃないからラクなんです。これが男っぽいアツい曲とかになると、そっちは書いていてプレッシャーがありますよ。書いてしまうと、そのように生きなきゃならないから。男としてね。だからこういうフィクションのほうが、“作品”として作れるから苦しまないで書けるんですよ。特にこの曲は激しく切ないメロディーだったりするから、そこにハマる言葉は、弱々しいものよりも覚悟を決めた愛のようにハッキリしたほうが分かりやすい。AメロとBメロは抽象的に、ハッキリ語らないんだけど景色が浮かぶようにして、サビはあえて深く強いものにしました」

──メロディーからのイメージで、歌詞の方向性もある程度決まっていくんですね。



「やっぱりここまで書いてくると、さすがに自分なりのやり方みたいなのもできてくるんですけど、やっぱりメロディーが良かったら、10パターンぐらい書けたりもするんですよね。幸せになる、別れる、女性的、男っぽいものとか、色んなパターンというかシチュエーションでストーリーが浮かんでくるんです。それを、若い人達に向けるのか、今の自分の世代の感じで書くのかとか、それによっても表現が変わってくるじゃないですか」

──なるほど!! そこに実体験とか自分の人生観みたいなものも加わっていくから、例え同じ“愛”をモチーフにしたとしても、違うものが生まれると。

「今はそうやって書けてますけどね。でも書けなくなる日もいつか来るとは思っているから、そのためにも引き出しを増やす作業が大事になってくるというかね」

※続きは月刊Songs9月号をご覧ください。

X Close

Topページを開く