http://leo-ieiri.com

20歳になり、デビューから4年目に突入した家入レオ。どんどんパワーアップしていくライブ・パフォーマンス、楽曲の説得力など、彼女から放たれる表現はさらなる輝きと強さをまといながら成長を続けている。10代から20代、そして子どもから大人へ。7月から始まったフジテレビ系月9ドラマ『恋仲』の主題歌としてもオンエアされている『君がくれた夏』には、そんな変化の中にいる彼女が感じた素直な思いが投影されていた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子


──7月に4度目のワンマンツアーが終わったばかりですが、新曲の制作はそのツアー中に行なっていたそうですね。



「はい。ドラマの主題歌のお話をいただいてから曲作りを始めたんですが、ツアーとかぶっていたのでスケジュール的にはとてもタイトでした。でも、すごくいい経験だったなとも思っていて。ツアーの最終日、渋谷公会堂のアンコールでいち早く披露させてもらったんですけど、制作中に試行錯誤しながらしっかり歌い込んでいたので、新曲とは言え、ヘンなドキドキ感みたいなのを感じることなく歌えたんですよね。ちゃんと皆さんに“聴いてください”って気持ちで、届けることができたと思います」

──その新曲『君がくれた夏』はどんなふうに書いていったんですか?

「(ドラマの)あらすじを読ませていただいてまず思ったのは、すごく自分と重なるものがあるなということでした。このドラマでは、福士蒼汰さん演じる主人公など、今20歳の私と同世代の人達の姿が描かれているのですが、とりとめのない日常とか恋愛に追われる日々を送りながらも、夏を越えて、みんな少しずつ変わっていくんですね。ドラマの中だけじゃなく、私の友達も今まさに就活とか始めてる世代なんですが、本当の意味で、子どもから大人にならなきゃいけない夏を迎えているような気がするんです。私、春は決意とかも固まっていて“よし、行くぞ!”って気持ちがあるけど、夏って、決断に向けてすごく迷っている季節だと思うんですよ。本当の意味での葛藤が訪れ、人を成長させてくれるのが夏なんじゃないかって」



──なるほど。

「そんな時に、そっと背中を押せるような曲になったらいいなと思いながら書いていったんです。新しい応援歌になるといいなと思いながら」

──新しい応援歌って、素敵な表現ですね。

「子どもの頃って、例えば何かの絵を見た時に自分の気持ちを上手く伝えられなくても、“無理に言葉にしなくていいよ、今この絵を見て何か感じてるものがあるんだったら、それでいいのよ”って言われてた気がするんです。でも大人になると、“言葉で伝えないと伝わらないよ”ってすごく言われるようになって。上手く言えない気持ちみたいなものも、無理に形(=言葉)にしなくちゃいけなくなるというか」



──ドラマの中でも、そのあたりのもどかしさとか、だからこそすれ違ってしまう切なさみたいなものが描かれていますよね。

「そうなんです。あと、例えば大人になるにつれて“また明日ね”が言えなくなって、“また今度ね”“またね”になっていく。子どもの頃は無邪気に“将来は一緒にこういう仕事しよう!”って言ったり、もっと大きくなってからだと“来年の夏は一緒にここに行こう!”なんて約束もできてたけど、これからの人生は、お互いの日常を報告し合う感じで、交わるところがどんどん少なくなっていくんですよね。あぁ、これからはそういう人生になっていくんだな、そういう年齢に差し掛かってきてるんだなっていうようなことも私自身考えたりして、すごく切ない気持ちになったんです」

──だけど一緒に過ごした時間は消えないし、それぞれの人生はちゃんと前に進んでいく。

「“君の描いた 未来の中に 僕はいない”けど、“君がくれた夏 その奇跡 僕は忘れない”。ものすごく切ないんだけど、切なさだけじゃなくて、そっと寄り添いながら背中を押すことができればと思って。私自身、20歳のこの夏にこの歌が書けて本当に良かったなって思えた1曲なんです」

──サビの後半でそっと“true love true love”と繰り返される部分もすごく印象に残りました。

「いつもは主旋(律)とハモリが7:3くらいだから、ハモリってあんまり聴こえてこなかったと思うんですけど、今回は5.5:4.5くらいで出しているんですよ。口は勝手に動いておしゃべりしてるけど、全然違うことを思っていたり、心の中には本当の気持ちっていうのがあったりする。その、自分の中で葛藤する感じを表してみたんです。本当に言いたかったのは“true love”。相手に言えない、心に秘めていた思いだったからこそ、あえて日本語にもしなかったんです。大切なことって何ひとつ伝えられなくて、だからその痛みとかで大人になっていくんだろうなっていうような思いも込めての英語であり、ハモリの表現でもあるんですよね」

※続きは月刊Songs9月号をご覧ください。

X Close

Topページを開く