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福島出身のシンガーソングライター・片平里菜が、ニュー・シングル『誰にだってシンデレラストーリー』をリリース。親しみやすいポップなメロディーに乗せ、女性なら誰でも夢見る世界を独特の詞世界で表現している。新境地とも言うべきキュートな応援歌だ。
Photo:秋倉康介 Text:瀬尾水穂

──最初に聴いた時から、これまでのシングルとは異なった印象を受けました。



「今回は制作に当たり、“曲を届けたい人”のイメージを絞ったんです。というのも、弾き語りツアーやワンマンライブを通して、ステージから見えたお客さんの層が、私と同世代、もしくは中高生の女の子達がとても多くて。ならば、一度そういう子達の気持ちに寄り添った曲を作ってみたいな、と思ったんです」

──そういう曲作りは珍しい?

「何となく聴いてくれる人を思い浮かべて作ることもありましたが、ここまで意識したのは初めてですね。難しさはなく、楽しく作れた感じがします。元になったデモは、2年ぐらい前に作ったものなんです。女の子に響く曲を作ろう!と思った時、“あの曲をブラッシュアップさせよう”と、すぐに思いつきました。歌詞に関しては悩んだりもしましたが、届ける相手がしっかり見えていたので、最終的には迷いなくできたような気がします」

──片平さんから見た、ファンの皆さんの印象は?

「実際にコミュニケーションを取ってみたりしたんですが、どこの会場も半分ぐらいは初めて見に来てくださった方々だったんですね。あと“初めてライブというものに参加した”っていう子も多くて。ステージから見えるみんなの表情が、すごく一生懸命でキラキラしていて。こんなにも真剣に聴いてくれている、みんなのことを手放したくないな…っていう気持ちも生まれて。それで、今回はみんなのための曲を作ってみたくなったんです」

──歌詞以上の想いが込められているんですね。

「そうですね。たぶん自分のためだったら、作らなかった曲だと思います」

──“シンデレラ”という言葉が印象的ですが、最初からキーワードに?

「デモの段階から入っていました。サビのメロディーができた時、“誰にだってシンデレラストーリー”っていう言葉が自然にハマったんです。意味は、あまり深く考えてなかったかな(笑)。でも“これは面白い曲になるぞ”と直感しました。きっと、私も心のどこかで“シンデレラストーリー”に憧れてたんじゃないかな。あの頃の私は、音楽をやっていても何ひとつ自信が持てなくて、こんな自分が人前で歌ったりしていいの? …と葛藤しながらも、“いつかはキラキラ輝きたい!”っていう願望もあって。今、私の曲を聴いてくれている女の子達も、きっと同じような悩みを抱えているんじゃないかな? と思ったんです。例えば何かやってみたいけど、あとちょっとの勇気が出ない。それこそファンの方から“ライブにも行ってみたいけど、勇気が出ない”みたいな声を聞くこともありました。“あとちょっとの後押し”を必要としている子って、きっといっぱいいるんですよね。だから、女の子の持つ普遍的なテーマで曲を作ってみようと思ったんです。私の曲が、その後押しになれたらいいなって」



──自分の気持ちを鼓舞するために作った曲が、みんなのための曲に生まれ変わったんですね。

「サビの世界観だけは全く変えてないんですが、その他のパートは大きく変えました。最初は、もっとおとぎ話寄りだったんです。舞踏会に行っても寂しくて…みたいな(笑)。今の女の子って、何を考えてるのかな? って想像しながら、自分の10代の頃のこととかを思い出したら、わりとすんなり歌詞が出てきました。不器用で、要領が悪くて、バイトでも怒られてばっかり。人間関係もままならなくて、まさにボロ雑巾で掃除をしているシンデレラの気分ですよね(笑)。Aメロではそんな情景が浮かぶような歌詞にして、Dメロではため込んでいた感情を吐露しました」


※続きは月刊Songs9月号をご覧ください。

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