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20周年イヤーに突入したEvery Little Thing(以下、ELT)が、ニューアルバム『Tabitabi』と、コンプリートベストアルバムをリリースする。海外の作曲家を積極的に登用し、これまで以上に幅広いポップソングを聴かせる『Tabitabi』は、ELTにとって間違いなく“進化”を刻んだ1枚。節目の時期に、チャレンジ精神豊かな作品が生まれた背景、そして20年の歩みに対する思いとは?
Photo:秋倉康介 Text:神谷弘一(blueprint)

──20周年イヤーということで、ニューアルバム『Tabitabi』に5枚のベストアルバム、DVD&Blu-rayが2枚ずつという豪華セットもリリースされます。他に類を見ないようなボリュームですね。



持田香織(以下、持田)「スゴいんです(笑)。いや、本当に」

──今回は主にニューアルバムについてうかがいますが、どんな思いで制作したのでしょう?

持田「基本的には、いつもの制作のスタイルとは変わらなかったと思います。ただ、ベストアルバムと同時進行ということで、豪華盤になった時にどんなバランスでアプローチできるのか、ということはかなり話し合いましたね」

──洋邦問わない制作陣も豪華で、幅広い作品になっています。

持田「そうですね。今回はMONKEY MAJIKさんや川江美奈子さんなど、ご自身で歌われている方も多かったので、歌詞も一緒に書いていただいて、“そのまま歌わせてほしい”というお願いをしたんです。なので、何かデビュー当時を思い出しました」

──なるほど。持田さんらしい曲もありますが、一方で作家に委ねたものもあると。

持田「自分で言葉を選ぶと、どうしても濃い感情が入って、考えすぎてしまうこともあって。今回は、すごく純粋に歌うことを楽しめました」

──今作の全体像について、伊藤さんはいかがですか?

伊藤一朗(以下、伊藤)「過去にコンピレーションを作った経験も活かして、バリエーションを楽しんでもらえる内容になったと思います。基本はポップスなんですけど、ジャズトリオ風の曲もあるし、パンクロックもあるし、カラフルですよ」

──ママズ・ガンのアンディ・プラッツ氏がクレジットされている『Little Dancer』は、全編英詞という新境地です。

持田「とても難しかったです(笑)。でも、新しいチャレンジをして、曲としてでき上がった時は本当に嬉しかったですね」

──伊藤さんは洋楽世代だと思うのですが、海外の作家、MONKEY MAJIKも含めて、全体に洋楽テイストも感じました。

伊藤「そうですね。一昔前は、例えばポップスの世界でジャズをやったり、ファンク、ブラックをやるのはご法度みたいなところもあったんですけど、いまのリスナーには、そういう垣根もないと思うんです。僕らは2人ユニットだし、もっと色んな方向に行っちゃっていいんじゃないかなって。MONKEY MAJIKさんについて言うと、僕も初めて見たコンサートがゴダイゴだったし、音楽的な刷り込みというか、嗜好が似ている気がしますね」



──持田さん、今作で他にチャレンジングな曲というと?

持田「元SOUL'd OUTのShinnosukeさんに書いていただいた『Best Boyfriend』も、踏み入れたことのないジャンルで、きっと楽しんでもらえると思います。ラップではないんですけど(笑)、すごくメロディアスでカッコいい曲なんですよ」

伊藤「ブラックミュージックにはそんなに精通していないんですけど、一緒に作業していて、やっぱり世代が近いから共感する部分も大きかったですね。普通はあんまり注目しないアーティストも押さえていて、本当によく知っているなって」

──ある意味では、海外でいま聴かれている音楽ともリンクするような、コンテンポラリーな作品にもなっていると思います。一方で、持田さんならではの世界観にじっくり聴き入る『旅旅』がタイトルトラックになりました。



持田「アルバムタイトルを考えた時に、これまで旅をしてきたし、これからも旅をしていくよね、という話をして。芸をしながら旅を続ける人達を“股旅”と言って、最近猫を飼ったこともあって“マタタビ、超かわいい!”と思ったんですけど、奥田民生さんがまさに『股旅』というアルバムを出されているので、そこをなぞるわけにはいかないと。そこでさらに話し合いを重ねている中で、一朗さんが“たびたび”って言ったんです。着物を着て“足袋”も履いていたし、“たびたびすみません”みたいな意味もあるし、いいなって。過去を振り返るような内容の楽曲を書いた時にも、すごく似合う言葉だなと思いました」

※続きは月刊Songs10月号をご覧ください。

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