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“ケータイ、サイフ、家のカギをなくした若者”を主人公にした物語。そして、ロックバンドの枠を大きく超越するような挑発的なサウンド──2015年を代表する、エポックメイキングなアルバムが誕生した。OKAMOTO'Sの6thアルバム『OPERA』はタイトル通り、ロック・オペラをテーマにしたコンセプチュアルな作品。岸田 繁(くるり)のプロデュースによるシングル『Dance With Me』をキッカケに生まれた本作は、リスナーの感性を大いに刺激してくれるはず!
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──本誌でインタビューをさせてもらうのはシングル『HEADHUNT』(2015年2月リリース)以来なんですが、まさかアルバムが“ロック・オペラ”をテーマにした作品になるとは全く予想してませんでした。



オカモトレイジ(以下、レイジ)「そうですよね」

オカモトコウキ(以下、コウキ)「自分達でも驚きです」

──ロック・オペラというテーマが生まれたキッカケは、シングル『Dance With Me』(2015年6月リリース)だったとか。

オカモトショウ(以下、ショウ)「そうですね。“ロック・オペラ”というスタイルは、ロックの歴史を遡ってみると、様々なバンドが表現してきているんです。“OKAMOTO'Sでもいつかやってみたいね”という話はハマ(ハマ・オカモト)ともしていたし──その時は“30歳、40歳くらいでできればいいかな”と思っていましたが──『Dance With Me』が完成したことで創作意欲がかき立てられて、今回のコンセプトに至ったということですね。あの楽曲にはくるりの岸田(繁)さんをプロデューサーとして迎えて、メンバー4人だけでは成し得ない化学反応も生まれて。自分達としても“やっとこういう曲ができた!”という手応えもありましたし、それをキッカケに様々な妄想も広がっていって。いざ作品にしてみたら、とんでもないところまでブッ飛んだ」

──海外のロック・オペラの名盤も当然、聴いてましたよね?

コウキ「“当然”という感じでもないですけどね。ロック・オペラの作品は、意外とハードルが高いと思うんですよ。ザ・フーの『トミー』(※ロック・オペラを確立したと言われる1969年リリースのアルバム)にしても、何も知らずに聴いたら意味不明だと思いますし」

ハマ・オカモト(以下、ハマ)「物語が分からないと退屈するかもね。『トミー』は映画にもなっていて、それを観てからアルバムを聴くと“なるほどね。だから最初のほうで『イッツ・ア・ボーイ』という曲が入ってるのか”などと、色々分かってくる」

──作品の基本的なストーリーが理解できれば、アルバムの世界がさらに楽しめるというか。

ハマ「そういう要素はありますね。聴きなじみがない音楽だと思うので」

ショウ「俺らがロック・オペラのスタイルから受け継いだのは、“物語がある”ということ。あとは曲と曲の繋がりとしてインタールードを入れたり。デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』(※1972年リリースのアルバム)やザ・キンクスの『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』(※1969年リリースのアルバム)、ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』(※1979年リリースのアルバム)に並ぶ大作を作りたかったわけでも、その偉大な精神性を受け継ごうと思ったわけでもなくて」

レイジ「うん」

ショウ「まず『Dance With Me』が完成したことをキッカケに、物語の幕開けとして『Dance With You』を作って。その間に何が起こったのか? という内容を描いてみようと思いました」



──1人の男の子が夜遊びに行くというシチュエーションも、リスナーにとっては親しみやすいですよね。

ハマ「圧倒的に分かりやすくしないと、こういう作品を作る意味もないと思ったので。『トミー』は“見えない、聞こえない、しゃべれない”という三重苦が根本にあって、それを“カギとケータイとサイフをなくした”という内容に置き換えて。そこはオマージュというか、コンセプトを拝借しています。そういう話なら共感性があるというか“あるある”って感じてもらえるだろうし」

※続きは月刊Songs10月号をご覧ください。

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