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デビュー10周年のアニバーサリーを迎えているMay J.のニュー・シングル『Have Dreams!』は、つんく♂(作詞)、小室哲哉(作曲)の初コラボレーションによるナンバー。タイトル通り、“夢”をテーマにしたこの曲の制作は、シンガーとしての新たな気付きのキッカケになったようだ。
Photo:小澤正朗 Text:森 朋之

──9thシングル『Have Dreams!』は、May J.さんが司会を務める『J-MELO』(NHKワールドTV)の2016年度オープニングテーマ。つんく♂さん(作詞)、小室哲哉さん(作曲)が初めて共作したことも大きな話題を集めています。



「私は『J-MELO』の司会を8年間やらせてもらってるんですけど、去年の10月に10周年記念本(“『J-MELO』が教えてくれた世界でウケる「日本音楽」”)が出て、その中に小室さんとつんく♂さんの対談インタビューが載ってたんですよね。そこでお2人が“何か一緒にやれたらいいね”という話をしてたんですけど、新たに『J-MELO』のオープニングテーマを制作するにあたって“歌手はMay J.でいきたい”って言ってくださって」

──まさに『J-MELO』が繋いだ縁ですね。

「そうですね。制作に先駆けて、小室さんと私で記者会見を開いたんですけど、その時に小室さんが“子どもが口ずさめるような簡単なメロディーにしたい”とおっしゃっていて。その時は“あ、良かった”ってちょっと安心したんですよ(笑)。でも、曲を聴かせてもらったらリフレインが多かったんですよね。確かにメロディー自体はシンプルだけど、それを何度も繰り返すということは、それだけ表現の幅を問われるということなので、“これは挑戦だな”と思って。その後、つんく♂さんから歌詞が送られてきたんですが、“Dream”“夢”という言葉が何度も出てくるんですよね。そういう曲を歌うのも初めてだし、これは大変だなって。つんく♂さん、小室さんがタッグを組んだことで、この曲を聴いてみようと思う方も多いだろうし、“ガッカリさせたくないな”というプレッシャーもありましたね」

──実際に歌ってみて、どうでした?

「英語バージョンはそこまで問題なく進みました。つんく♂さんから“ここを少し直してほしい”というリクエストもあったんですが、大体はうまくいって。難しかったのは日本語のバージョンだったんです。つんく♂さん、小室さんもレコーディングに立ち会ってくれたんですが、それだけでも超緊張してしまって。“時間がかかってはいけない”と思ったので、あらかじめレコーディングしておいたものを聴いていただいたんですが、全部やり直すことになったんです。私としては“これで大丈夫”と思っていたので、最初は“まさか”という感じで

──余計に緊張してしまうシチュエーションですね…。具体的なディレクションもあったんですか?

「ありました。まず、つんく♂さんが“May J.というアーティストを見ていて、直したいことがあるんだよね”って指摘してくださったんです。“曲を聴いていると、どの曲も全力で歌っている。歌の上手さは伝わってくるけど、身近な感じがしない”って。“持ってる力を全部発揮しなくていい”ということを教えていただいたんですが、“そんなふうに考えたことは一度もなかったな”って。しかも、小室さんも同じことをおっしゃってたんです。“May J.が歌う『Have Dreams!』はスケールが大きすぎて、身近に感じられない。隣にいる人に語りかけたり、電話で話しているように歌ってみて”って」

──キーワードは“身近な感じ”なんですね。

「その後、つんく♂さんに“May J.が思うDreamって何?”って聞かれて、私はこういう夢を持っていて、こういうところが足りないと思っていて…と答えたら“それは大きすぎる”って(笑)。そうじゃなくて、“週末に家族とディナーしたい”みたいな小さいことを想像してみてって言われたんです。ちょうどその頃、ちょっと父親とケンカしてたから“仲直りしたいな”という気持ちで歌ってみたら“すごく良くなった”って」



──そんなに変わったんですか?

「全く変わりましたね。そのチェンジ(変化)を経験できたのもすごく良かったなって。ずっと“自分の歌には足りないものがある”と感じていたんですけど、それが何か分からなかったんです。つんく♂さん、小室さんの言葉で、そのことに気付けましたね」

※続きは月刊Songs2016年8月号をご覧ください。

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