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早くも今年3枚目となる高橋 優のシングル『光の破片』がリリースされる。TVアニメ『orange』のオープニングテーマ曲としてオンエアされている表題曲に加え、どうしても今このタイミングで歌いたいという強い思いから急遽収録されることになったという『TOKYO DREAM』、ずっと言葉にしたかった思いが書けたという『誰かの望みが叶うころ』、そして亀田誠治との“メガネツインズ”による『視力検査』。シングルというカテゴリーには収まりきらないほどの存在感を放つ最新の4曲について聞いた。
Photo松井伴実 Text:山田邦子

──新曲『光の破片』は、アニメ『orange』のオープニングテーマとして書き下ろされたものだそうですね。



「はい。実はもともと、この作品が大好きだったんですよ。スガシカオさんが原作のコミックを読んですごい泣いたってことをTwitterか何かで言われていて、僕も読んでみたら本当に感動して。そこからスガさんと“僕も泣きました! 今度『orange』談義しましょう!”って話をしていたところ、『orange』がアニメ化されることになり、そのオープニングテーマを、というお話をいただいたんです。そういう巡り合わせもあるんだなぁって驚きました。でも自分としてはすごくしっくりきたんですよね。作品に対する自分の中の解釈とかイメージは、すでにあったから」

──具体的にはどんなふうに書いていったんですか?

「まず先方の『orange』サイドの意見をお聞きしたんですけど、登場人物の誰かに特化するのではなく、色んな思いを持ちながらそこにいる6人を俯瞰してるような感じがいいと。ちょっと気まずくなって離れたり、くっついたり、同じ方向に走ったり、バラバラに散ってしまったりする人間模様が表現されてるほうが嬉しいというリクエストをいただいたんです。僕も実はそういうほうが好きなんですよ。イケメン1人がフィーチャーされているものよりも(笑)、それを引き立てているやつらにも物語があるんだっていう描き方のほうが。そこから万華鏡という比喩表現に繋がっていったんです」

──個人的に好きで読んでいる時も、職業病じゃないですけど、“自分だったらこういうテーマで曲が作れるな”なんてことを考えたりすることもあるんですか?

「そこは全く考えてなかったですね。ストーリーに入り込んでいるので、“きっとあいつはこういう気持ちだったんじゃないか”とか、普通に読者目線でいました。映画を見る時もそうだけど、やっぱりなるべくそういう目線でいたいなぁとは思っているので」

──となると、いざ曲にするとなった時には、作品に対する思いが溢れて大変そうな気がします。

「確かにそうですね。この6年間、色んなタイアップのお話をいただいた中で、いい意味で、ちょっと力みすぎるくらい力んで書いたものもあったんですよ。でも最近は、読者目線や視聴者目線で書くようにしてるんです。もちろんプロとして、という前提はあるんですけど、まずは自分自身が楽しむとか、ちょっと野次馬のようなミーハーな気持ちっていうのを忘れてしまったら、自分が作る作品なのに何だかよく分かんないものになっちゃいそうだから。僕が作るものは、あくまでも僕の中から出てくるものですからね。この『orange』を読んだ時、シンプルに“うわぁ…!”と思った気持ちをできるだけ曲に込められたら、全員じゃなくても誰かには“分かる分かる”って思ってもらえるかなって、そういう気持ちで書いたんです。自分もウキウキ楽しみながら」

──そこでキーワードとなったのが、万華鏡。

「この『orange』って作品は、お話がキレイなんですよ。みんな、いいやつ。イヤなやつはあからさまにイヤなやつだけど(笑)、その人間関係が見ていて楽しいし、キレイだなって思ったんです。もっとドロドロした人間関係の話だったらまた違う比喩表現が出てきたと思うけど、その“キレイ”っていうところとか、タイトルの『orange』という色から、万華鏡に繋がったんだと思います」

※続きは月刊Songs2016年9月号をご覧ください。

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