http://www.koufuku-alibi.jp/
陣内孝則が9年振りにメガホンを執った『幸福のアリバイ~Picture~』は人生の一大行事ともいえる「葬式」「見合い」「成人」「誕生」「結婚」の5つのエピソードで悩める人々が惑う姿をコミカルに描いたヒューマンコメディ映画となっている。自身もロックミュージシャンという経歴を持つ陣内監督と、今作の主題歌『再燃SHOW』を手掛けたアーティスト・さかいゆうのスペシャルな対談をお届けします!
Photo:斎藤隆悟 Text:奥村百恵

──お2人の出会いからお聞かせいただけますか?



陣内孝則監督(以下、陣内)「さかいくんにはお会いする前に主題歌をお願いしていて、そのあと偶然そば屋で会ったよね」



さかいゆう(以下、さかい)「ちょうど今作の『再燃SHOW』のレコーディング中にお会いしましたね」

陣内「ご縁があったんでしょうね。実は僕、最近の若い子達が聴く音楽というものに詳しくないんですね。それで、主題歌に合うような曲を歌っているミュージシャンを探そうと色んな方の曲を聴いたんです。そしたら“この人いいじゃない”とピンときたのがさかいさんの曲で」

さかい「僕の音楽って玄人ウケするというか」


陣内「そうなの?」

さかい「わりとコアなファンの方が多いんです」

陣内「でも、それって大事なことだよね」

──さかいさんのファンを公言されている俳優さんや女優さんも多く、小泉今日子さんには楽曲提供をされてますよね。

さかい「そうですね」

陣内「キョンキョン(小泉)と言えば僕、昔ドラマで共演してたんですよ。ますます縁を感じるね」

さかい「嬉しいです!」

陣内「ところで今日は音楽の対談なんだよね? どんな音楽を聴いてきたの?」

さかい「小学生の頃は演歌と歌謡曲ばかり聴いていて、90年代に入ってからようやくポップスを聴き始めました。大人になって好きになったのは60年代と70年代の音楽だったので、今ちょうど80年代の音楽を勉強中です」

陣内「僕がザ・ロッカーズとしてデビューしたのが80年代なんだよ」

さかい「80年代の音楽ってサビのメロディーが一番キャッチーだった時代ですよね。ロックとポップスが融合したような、例えばプリンスとかもそうですけど底抜けにキャッチーで。音色もその時代にしかない音色ですし、最近は70年代後半から80年代の音楽が再び盛り上がってきてるので、まさに勉強中なんです」

陣内「僕は70年代後半に鮎川 誠さんがやっていたブルースロックバンドのサンハウスを聴いていて、当時は先輩からとにかくブルースを聴けと言われてたんだよね。マディ・ウォーターズとかマジック・サムとか」

さかい「うわ〜どっちも大好きです(笑)」

陣内「そのあとにマージービートというリバプールサウンドやブリティッシュロックにハマっていって、キンクスやスモール・フェイセス、ビートルズやローリング・ストーンズをよく聴いてた。60年代に人気があったイギリスのロックバンドのゾンビーズは、中古レコード屋を漁ったりしてさ。で、アメリカのラモーンズというバンドを知った時に、このスタイルだったら僕でもできるぞと。それがきっかけでタテノリのスタイルでポップな音楽をやり始めたの」

さかい「商業的な音楽だけを聴くのではなく、その元となってるブルースが大事だということを先輩から教えてもらった感じですか?」

陣内「そうそう」

さかい「僕の場合はいきなりブルース歌手のロバート・ジョンソンを聴き始めてしまったので」

陣内「でもさ、さかいさんは見るからに音楽家な雰囲気を持ってるけど、僕らの世代は歌う暴力団みたいな感じだったんだよ(笑)」

さかい「あはははは!」

陣内「ホントだよ。音楽で負けてもケンカで勝とうとかさ。フォークやってる奴らとは口をきくなみたいなさ、そういうことばっかり先輩から言われてきたから」


※続きは月刊Songs2016年12月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く