http://uedamarie.com
2015年の夏にリリースされた3rdシングル『わかんないのはいやだ』以降、『スペクタクル』(2016年1月)、『ふれたら消えてしまう』(同7月)、『夢のパレード』(同10月)と耳にも心にもインパクトを与えるシングルを立て続けにリリースしてきた植田真梨恵。それらを含む2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』は、聴き始めると一気に引き込まれ、聴き終えてもなお耳の奥でずっと響いているような音楽が詰まった作品だ。テーマは“夢”。ゆっくりとまぶたでシャッターを切ったような風景が、とても愛おしい。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──2ndアルバム『ロンリーナイト マジックスペル』、本当に素晴らしいです。ヘンな言い方かもしれませんが、とても豊かな音楽が鳴っているアルバムだなと思いました。



「ありがとうございます。すごく嬉しいです! 今回は、それぞれの曲も、全体像も、自分がやりたいと思うことがそのままできた気がするんです。それは自分のスキルとか人間関係とかもあったからだと思うけど、例えば“こっちのほうが売れそうだから”とか“こっちのほうがキャッチーだから”とか、そんなことを全く考えずに作れたんです。“これが素敵!”で作り続けたものだったから、そんなふうに言ってもらえるとすごく嬉しいです」



──真梨恵さんは毎回アートワークもご自身で手掛けていますが、今回のイメージは?

「まず、この『ロンリーナイト マジックスペル』というタイトルは、『ダイニング』という曲ができた時からあった言葉なんですね。色んな人達の見てる夢が夜の空に浮かび上がっていくようなイメージで、夜見ているその夢が空全体に広がって、繋がっていくようなアートワークにしたいなというのが最初にありました。その時点で曲も半分以上あったんですけど、改めて意識して見ると“夢”というワードがいっぱいちりばめられていたんですね。それで、あぁ、今回は“夢”がテーマなんだわって強く意識し始めたんです」

──思い返してみると、3rdシングル『わかんないのはいやだ』のジャケットにも、“夢”に繋がる“ベッド”がアイテムとして使われていましたね。

「そうなんですよ。その『わかんないのはいやだ』以降ノンストップで止まらずに制作してきたんですけど、ジャケットなどに関しても“じゃ、明日決めますから”みたいなスケジュールでやってきたんです(笑)。だから、半分以上がひらめきと思いつきなんですよ。“何でこれを思ったんだろう?”というのが自分でも分からないところもあるけど、そんな中でベッドを使ってみようと思ったり、『I was Dreamin' C U Darlin'』って曲ができたり、『夢のパレード』をシングルとしてリリースしたり、ライブのオープニングで“悪夢”っていう演出があったりしつつで、この“夢”をテーマにしたアルバムの形がだんだん見えてきて。意図してたわけじゃなくて、ホントに“うわ、繋がったー!”って感じなんですよね(笑)」

──そういう流れだったんですね。

「その時々のひらめきを大事に、その時できる限りの情熱を全部注ぐっていうことをシングルのたびにやってきて、いざアルバムって時に全体像が遠くないところにあったのは、ちゃんと足跡が続いてきているみたいで自分でもすごく嬉しかったです。そうやってでき上がってリリースできることがこんなにも幸せなことなんだなとひたすら思ってるんですよ。私がしている仕事というのは、日常とか、26歳の今までの全部が1曲1曲になり、1つの作品となって人に届いていくわけで、そこに“好きなだけこだわっていいよ”っていうふうに今回は作れたわけですからね」



──1枚目(『はなしはそれからだ』/2015年2月)を作っていた時の感覚とはまた違いますか?

「そうですね。やっぱり1枚目の時は必死だったというか、とにかく歌が真ん中にあるシンプルなものを作って、まずはこれを聴いてください! ってメジャーシーンから届けることが自分のミッションだと思ってたんです。初期衝動もすごく詰まっている。そういう意味では、今回はより自由に作れたし、日常の中から自然と生まれたものが曲になって収録されたんですよね。そういう違いはあると思います」


※続きは月刊Songs2017年1月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く