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1997年3月にシングル『カウントダウン』でデビューを飾ったCoccoが今年、20周年のアニバーサリーイヤーを迎えた。3月には『20周年リクエストベスト+レアトラックス』をリリース。ファンのリクエスト結果を中心にセレクトされた本作は、『強く儚い者たち』『樹海の糸』などのヒット曲の他、くるりのメンバーらと結成したSINGER SONGERの『初花凜々』、さらに『ダンスホール』(尾崎豊)、『オジー自慢のオリオンビール』(BEGIN)といったカバー曲、ファンの間で根強い人気を持つ『藍に深し』のライブバージョンなどを収録。20年のキャリアを網羅した充実作に仕上がっている。さらに、7月12日・14日には初期バンドメンバー、現バンドメンバーをフィーチャーした日本武道館2daysライブ「Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days ~ 一の巻 × 二の巻 ~」を開催。20周年を迎え、さらに充実した時期を迎えつつあるCoccoに、歌に対するスタンスについてたっぷりと語ってもらった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──デビュー20周年、おめでとうございます。まず、今の心境を聞かせてもらえますか?



「去年(2016年)は“来年、20周年だよ。ヤバいよ”って言ってたんですよ。20周年のTシャツやパーカーを作ったりして、ちょっと浮かれてたんだけど(笑)、3月21日にベスト・アルバム(『20周年リクエストベスト+レアトラックス』)をリリースして、プロモーションをさせてもらったり、インタビューを受けているうちに少しずつ落ち着いてきて。例えばラジオに呼んでもらったりすると、パーソナリティーの方に“僕はこの番組を始めて30年なんだけど”って言われたりするわけですよ。そうすると20周年なんて言ってることが恥ずかしくなってきて」

──まだまだ先がある、みたいな?

「そうそう。だから今は粛々と、謙虚に過ごしてます。“20年って、生まれた子どもが成人するまでの年月だからね。すごいよ”なんて言ってたんだけど、考えてみたら、二十歳なんてまだまだ子どもだから(笑)」

──確かに(笑)。『20周年リクエストベスト+レアトラックス』はまさにこれまでの軌跡が詰まったベスト盤だと思いますが、Coccoさんご自身はどんなふうに感じてますか?

「まず、レコード会社の皆さんの愛を感じてますね。オリジナル・アルバムにはすごくこだわりがあって、“誰が何と言ってもこうしたい”みたいなものがあるんだけど、ベストは皆さんのものだと思ってるんですよ。今回のベストについても、私から“こうしたい”というよりは、スタッフの方々が色々やってくれたんです。“フォトブックを付けない?”“いいよ”“こういう写真を載せたいんだけど”“いいよ”って、全部OKして。やっぱり、みんなと共に歩んだ20年ですからね。誰もここまで続けられるとは思ってなかっただろうし、ありがたいなって思います」

──『20周年リクエストベスト+レアトラックス』の収録曲はファンの方々からのリクエストを中心にしているそうですが、投票結果についてはどう思いましたか?

「“シングルに収録されている曲”“アルバムに収録されている曲”という2つのリクエストを取ったんですけど、投票数が一番多かったのはシングルのカップリング曲だったんですよ。しかもダントツの1位だったから、ビックリしちゃって。私もネギ(当時のプロデューサー、ベーシストの根岸孝旨)も忘れかけてましたからね(笑)。でも、メンバーと一緒にスタジオに入って演奏してみると、すぐにできちゃうんですよ。その時に“やっぱり自分達の曲だった”って思い出して(笑)。同窓会みたいですよね。10年振りくらいに会っても、すぐに昔の感じで話せるじゃないですか、同窓会って。そういう感じでした」

──シングルのカップリング曲が1位になるのも、感慨深いですよね。

「そうですね。90年代後半はCDも売れていたし、シングルを買ってくれた人は、次のアルバムが出るまで(シングルに収録された)3曲をずっと聴いてくれてたんだろうなって。そう思うと、すごく愛しい気持ちになりますね。カップリング曲って、ライブでもなかなか歌う機会がないんですよ。私達が抱えきれずにこぼれ落ちていたものに、こうやって光を当ててもらえるのも嬉しいですね」



──Coccoさんにとってもこれまでのキャリアを振り返るきっかけになったと思うんですけど、ふだん自分の楽曲を聴くことってありますか?

「聴かないです(笑)。この前、テレビ番組で『カウントダウン』を歌うことになって、久し振りにオリジナルの音源を聴いてみたんだけど、ビックリしちゃって。今ライブでやってるアレンジと全然違うから」


※続きは月刊Songs2017年6月号をご覧ください。

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