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あの名曲『にじいろ』以来となる絢香の新曲は、『コトノハ』。それはまるで、一文字ごとに大切な想いが込められた、彼女からの“歌の手紙”だ。シンプルなようでいて、微妙に変化していくサウンドに乗せて、抑揚に富んだ、描写力豊かな歌声が聴こえてくる。レコーディング直後の本人にインタビューした。取材場所に現れたその表情には、大切なレパートリーがまたひとつ増えたことに対する充実感がみなぎっていた。
Text:小貫信昭

──新曲『コトノハ』はドラマ『ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜』(NHK総合)の主題歌として書き下ろされたそうですが、ドラマ内容ともリンクしていきそうな楽曲なんでしょうか?

「そうですね。今回はドラマのお話をいただいて、事前にどのような内容のものなのかはお聞きした上で書き下ろしました」

──ドラマはちょっとユニークな設定でもありますね。

「そもそも“手紙”というのが大きなテーマなんです。代書屋さんをすることとなった主人公の女の子と、そのお祖母ちゃんとの関係をもとに、ストーリーは展開していきます。様々な人達が“お手紙、書いてください”と依頼してきて、それを代筆するのが仕事で、その依頼は夫婦の間でのことだったり、もう会わない知り合いに宛ててだったり、様々なシチュエーションがあるんですけどね」

──伝えたくても自分じゃなかなか伝えられないことだからこそ、依頼するんでしょうね。

「実は、手紙が人と人の心を繋ぐ、というのは、とても共感できる部分だったんです。なので、自然な気持ちでこの作品が書けました」

──共感する部分といいますと?

「もう3年前に亡くなってしまったのですが、私のおじいちゃんのことなんです。17歳で上京してから、とにかくたくさんの手紙を送ってきてくれたんです」

──おじいさまは色々と、文面を通じて絢香さんを励ましてくださったそうですね。

「はい。その手紙は今も全部取ってあって、今回の曲を書く時に久々に読み返してみたんです。読むと改めて、“あの時、おじいちゃんはこういうことを言いたかったんだな”とか“あぁ、こんなにも心配してくれてたんだ”って、より深く理解できた自分がいました。あれから10年経ちますけど、あの時、おじいちゃんが伝えたかったこと、想ってくれていたことと、今も私は時を超え、“繋がっているんだなぁ”って思いました。そもそも書かれた言葉は残っていくものだし、それを介して、もう会えない人とも、改めて繋がることができたりするんですよね。そんな言葉の持つ力を、私はこの曲を書きながら、改めて強く感じました」

※続きは月刊Songs2017年6月号をご覧ください。

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