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GLAYの約2年8か月振りのニュー・アルバム『SUMMERDELICS』は、メンバーと共に作品を作り上げたプロデューサー・亀田誠治氏をして、「ロックの新しい扉を開いた1枚」と言わしめるほどアグレッシブ、かつ良質なロックナンバーが詰まった1枚だ。キーマンはHISASHI?──4人が本気で楽しんで作ったという“4人4色”、いい意味でサイケデリック=混沌とした、1人1人のカラーが色濃く出ているアルバムについて語ってもらった。
Text:田中久勝

──前作『MUSIC LIFE』から約2年8か月、ようやくニュー・アルバム『SUMMERDELICS』が完成しました。

TAKURO「2014年頃からメンバーにはシングル曲になるものを書いてほしいと言ってきて、『G4』シリーズでそれが形になったのと同時に、HISASHIの才能、彼が持っているGLAYの中ではある意味、王道にはなり得ないニッチやダークな世界と、そのキャラを世の中に広めるタイミングだと思っていました。その2つが大きな柱になっています。そして『シン・ゾンビ』のような曲もGLAYではありということを同時に伝えて、バンドのしなやかな進化、成長、成熟を目指しました」

TERU「最近の個人的なテーマだった“ガムシャラ感”を、どう出せばいいのかということを考えながらレコーディングに臨みました。自分の年齢、ファンの人達との距離感と向き合い、今までにはない感覚で歌いました。メンバー4人のバラエティーに富んだ曲が並んでいますが、全員で曲を持ち寄り、その中からメンバーの情熱が感じられる曲をピックアップしたら、こうなったという感じです」

JIRO「先行してシングルとして発売していたものが多いこともあって、どう聴いてもらえるのか少し不安でしたが、でもそれぞれの個性が強くなっていて、1つ1つの音が強力になっている感じがします。これまではTAKUROの曲を軸に、その周りの広がりをいかに見せていくかという感じが強かったと思いますが、今回は作品ごとに1人1人が行きたい方向性がしっかりしているというか」

──『シン・ゾンビ』を始め、『デストピア』『超音速デスティニー』『微熱Ⓐgirlサマー』と全く色が違うHISASHIさんの曲が4曲収録されていて、特に1曲目がデジタルロック『シン・ゾンビ』で、その曲頭からいきなりものすごいインパクトです。

HISASHI「色々なことをやりすぎて自分のやりたい方向が麻痺してしまって(笑)。原曲の『彼女はゾンビ』(53rdシングル『G4・IV』収録曲)というのがわりと出落ち感のある曲だったので、最初はアルバムに入れるか悩みました。僕は基本的に過去の曲には全く興味がないので、だから新しい作品を作っている時が一番楽しくて。『彼女はゾンビ』もアルバムに入れてもいいけど、何か手を加えないとつまらないと思って、最初は歌詞を替えるだけにしたんです。重い意味のある曲の歌詞が替わるのは好きではないのですが、この曲は違うバージョンと考えて、ガラッと変えてみようと思って。トリッキーな曲でもあったので、それが許される幅もあると思い、ギターも録り直したり…。レコーディングの面白さというか可能性がこの曲には詰まっています」

TAKURO「でもそのやりたいことに対する真っ直ぐさ、情熱とか、彼の想い自体がすごくポピュラリティーを持っていて、キャッチーだと思いました。だから俺は絶対『シン・ゾンビ』がアルバムの1曲目じゃないとダメだと思いました」

──『シン・ゾンビ』は言葉が持つリズムがすごく気持ち良くて、トリッキーな曲ですが、でもやっぱりGLAYなんですよね。

HISASHI「やっぱり長くTAKUROの曲をやってきたこともあるし、自分の言葉に対するギターの置き方、音符の長さとかを含めて、そのバンドの音だなと思います。ギタリストによってそれぞれ癖があって、歌詞の符割りの置き方は、やはりコンポーザーそれぞれの味だと思います。オタ芸のコールを入れたり、声優さんに登場してもらったりしましたが、それを寛大な心で許してくれたプロデューサーの亀田誠治さん含め、メンバーには感謝です」

※続きは月刊Songs2017年8月号をご覧ください。

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