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大原櫻子の7枚目となるシングル『マイ フェイバリット ジュエル』は、シンガーソングライターの秦 基博が書き下ろした楽曲だ。日常の中にある小さな幸せ、誰も気づけない大事なもの、私だけの幸せ。そんなあたたかな視点が優しくきらめくこの曲を、彼女はどんなふうに受け止め、レコーディングに臨んだのだろう。ボーカルに関する貴重なエピソードなどもうかがった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:山田邦子

──新曲『マイ フェイバリット ジュエル』は、秦 基博さんが手掛けられた楽曲なんですよね。



「はい。私はもともと秦さんの楽曲が好きで、その中でも『ひまわりの約束』が大好きだったんです。そんな大好きな曲を、秦さんご自身とコラボさせていただく機会があって」

──2014年のFNS歌謡祭ですね。

「コラボさせていただくといっても、あまりフレンドリーにお話しするような感じじゃないんですよ。そういう時間がそもそもないし、リハーサルの時も自分のことでいっぱいいっぱい(笑)。本番前も緊張しちゃって“今日はよろしくお願いします”と言うのが精一杯だったんです。でもそこから色んなご縁が重なって、また番組で一緒になったり、ライブの時にご挨拶させてもらったりしていた中で、楽曲提供のお話が出てきて」

──その時はどんな気持ちでした?

「いやもう、一刻も早く作ってほしいなと(笑)。でも、やるんだったらじっくり時間をかけたほうがいいですね、ということで、それが1年以上前の話なんです」

──そんなに前から進んでいた話なんですか! その間に取材やライブで何度もお会いしてるのに、口が堅かったですね(笑)!

「今年の春の『ひらり』の取材の時なんて、“今後は?”みたいな話の時に“めっちゃ言いたーい!”って心の中で思っていました(笑)」

──そうだったんですね(笑)。



「最初は曲だけというお話だったんです。それだけでも十分嬉しかったんですが、私は秦さんの歌詞が大好きなのでお願いしてみたところ、歌詞も書いていただけることになったんですよ。実現してびっくりというか、本当にありがたいなぁと思いました。嬉しかったです」

──曲を聴いた時の印象はいかがでした?

「最初に曲だけいただいた時は、新しい要素が来たなと思いました。メロディーを聴いた瞬間に、これまでの私の作品にはなかった流れるような展開だったから。秦さんの曲って、印象としてあまり息継ぎらしい息継ぎがないんですよ。『鱗(うろこ)』のサビとかまさにそうじゃないですか」

──確かにそうですね。歌詞の内容に関しては、方向性などのリクエストもされたんですか?

「していないです。シングルの表題曲で亀田(誠治)さん以外の方のプロデュースは初めてだったこともあって、その人の色に染まってみたいなという思いがあったんです。制約が何もないところで秦さんから出てくるものを歌ってみたいなって」

──そういうことだったんですね。

「性別も年齢も違うし、秦さんはシンガーソングライターで私は歌を歌っている。立場もアプローチの仕方も違うからどういうものが出てくるのか、またそれを私が歌うことでどんな化学反応があるのかが楽しみだったんです。ここでは何気ない景色に特別は隠れていて、喜びの中とか悲しみの先に私だけの幸せがあるということを歌っているんですが、これまでの音楽の面においての大原櫻子らしさみたいなものがすごく見えていた。あぁ、ちゃんと見てくださっているんだなぁと感激しました」

──歌ってみて感じることもありました?

「私は自分の歌を歌う時に、ジャンル問わず、老若男女問わず聴いてほしいという思いを持っているんですが、秦さんの歌も、心地よく聴けるというところが大きいんだなぁと思いました。秦さんの曲って叫びでもあるなと思うんですが、あの優しい歌声だからずっと聴いていられるんですよ。秦さんイズムはしっかりあるんだけど、クセはない。すごく勉強になりました。音楽で私自身を見せるその見せ方に、客観的な目線がもうひとつ増えたような感覚がありましたね」

※続きは月刊Songs2017年9月号をご覧ください。

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