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デビュー20周年を迎えたKOKIA。今年はすでに8つのレーベルの枠を超えて制作された4枚組のベスト・アルバムと、貴重な中国公演なども収録された3枚組DVDがリリースされているが、4月25日にはいよいよ前作から約3年振りとなるニュー・アルバム『Tokyo Mermaid』をリリースする。国内外から見た東京、その東京に集まってきた様々な人達、その人達の胸の内に広がる喜怒哀楽などをフレッシュな感性で落とし込んだ本作について、また、20周年を迎えた現在の心境などを聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:山田邦子

──20周年、おめでとうございます! 簡単な言葉になってしまいますが、20年歌い続けるって本当にすごいことだと思います。



「私、ラッキーだなって思ってるんですよ。20年前は自分が“KOKIA”になってこんな人生を歩むなんて思ってもいなかったし、デビューしてからはもう、ただひたすらにやってきただけなんですけどね。振り返れば色々なことがありました。お話ししてこなかったような困難も。例えば、コンセプトを決めていざアルバムを作ろうとすると、そのコンセプトに対して一番難しいハードルが立ちはだかる。──声に軸を置いた『The VOICE』(2008年)というアルバムを作る時には、一番大事な声が出なくなるなど、色々なことが思い出されます。皆さんには、その時はお話しできないでいた様々なことがありました」

──今回も、レコーディング前に体調を崩していらっしゃったそうですね。

「はい。でも、乗り越えなきゃいけないものは毎回ちゃんと乗り越えられるんです。不思議だけど、“そういうこと”なんだなと思います。ひとつひとつの思い出にフォーカスすると、楽しいことばかりでなく、ツラかったこととか、面白くなかったこととかもありますけど(笑)、全部ひっくるめて、人生のほとんどの時をKOKIAとして過ごしてこられたことが、本当に幸せなことだったなって。まだ終わってないですけど(笑)」

──終わらないどころか、アニバーサリーイヤーの企画が目白押しですよ(笑)。

「4枚組のベストに3枚組のDVD、そしてニュー・アルバム。20周年のコンサートもありますしね。今年度はさらに攻めようと思っているので、ヨーロッパと中国公演も予定しています。20周年を周りが祝ってくれる高揚した雰囲気の力を借りて、この機会にやりたいことをどんどんやっていきたいなって思ってます」

──期待しています! ではそのニュー・アルバム『Tokyo Mermaid』についてうかがっていきたいのですが、KOKIAさんの中の新しい扉が気持ち良く開け放たれているような印象です。サウンドや使う言葉など、これまでにはなかった感触にワクワクしながら聴かせていただきました。

「ありがとうございます。今回、書き始めはすごく難しかったんですよ。なぜかと言うと、20周年の節目に出すアルバムとなると、みんなきっと期待してるんだろうなって思うじゃないですか(笑)。なので、どんなものにしようか、構えてしまって」



──してます、してます(笑)。

「これはすごいの出さないといけないな、なんて思っていたんですよ。でも結局、色々考えるのをやめることにしたんです。たぶん20年かけて私はそれなりに、知らず知らずに熟成されてきているんだろうから、ナチュラルに、すごいのが出てくるはずだと思って(笑)」

──素晴らしい決断です!

「いつもはコンセプトやテーマを掲げてアルバムを作っていくのですけど、今回はそれをしませんでした。私自身が20周年なんだから、自分から出てくるものこそが20周年なんだろうと思って、コンセプトやテーマに向かって書くのではなく、自分からナチュラルに出てきたものをまずはとにかく並べてみよう。というやり方で、ひたすら曲を書き続けたんです。天気がいい日に『天気がいい ビール飲もう』を書いたりして」


※続きは月刊Songs2018年5月号をご覧ください。

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