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日本を代表するミュージカル俳優、石丸幹二。現在は舞台のみならず、ドラマ、映画、さらには歌手や司会者、朗読者としても活躍し、いち表現者として活動の場を広げている。CS放送「TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画」で5月26日に放送する『The Vocalist 〜音楽に恋して〜』では、歌手・石丸幹二の魅力を、1時間たっぷりお届け! 収録に先駆けて行なわれた取材会で、番組の見どころを聞いた。
Photo:秋倉康介 Text:瀬尾水穂

──番組『The Vocalist 〜音楽に恋して〜』に対し、どのような印象をお持ちでしたか?



「とてもぜいたくな音楽番組ですね。1時間たっぷり歌を聴いていただけるということで、お声がけをいただいた時は、歌手・石丸幹二を知ってもらう良いチャンスだと思いました」

──どのようなプログラムを予定されていますか?

「私はミュージカル出身ですので、これまで出演してきたミュージカルのナンバーや、アルバムに収録してきた楽曲をお届けする柱が1本。そして、もう1本の柱として、坂本 九さんの名曲や『赤とんぼ』のような日本の歌なども歌わせていただこうと思っています」

──洋と和の2本柱ですね。

「2本柱の他にも映画音楽や語り歌もあるので、いろんな食材をひとつの串に刺した“バーベキュー”のほうがイメージが近いかな(笑)」

──洋のコーナー、和のコーナー、もう少し詳しく番組内容を教えていただけますか?



「今回、番組で披露させていただく“洋”のミュージカルの楽曲には、女性キャラクターのナンバーもあるんですよ。実際の舞台では通常男性が歌うことのない楽曲ですので、私が歌うことは、ひとつの見どころになるのではないでしょうか。その他にもドラマティックな楽曲を用意していますので、作品をご存知の方にはパッとそのシーンが浮かぶような体験を、またミュージカルに馴染みのない方にも、別世界へ行くような感覚を味わっていただけたらいいな、と思っています。“和”のほうも、私が実際に触れてきた日本の音楽をご紹介していく形となります。例えば、数年前にドキュメンタリー番組で演じる機会をいただいた山田耕筰の曲は、誰しも“幼い頃に聴いたことがある歌だ”と思われるはず。でも、皆さんの記憶にあるメロディーから、ひとひねり、ふたひねりしたアレンジになっています。アレンジをしてくださった、国際的にご活躍されているミュージシャン・吉田次郎さんの手にかかることで、“あの曲がこんなふうに生まれ変わるんだ!”と、きっと驚かれるでしょう」

──懐かしくもあり、新しさもあるわけですね。

「そうです。去年のディナーショーで初めて『赤とんぼ』を歌ったのですが、幅広い世代の方々から、まさに“懐かしい、でも新鮮だった”という声をいただきました。今回も、日本のトップクラスのミュージシャンと共に名曲をお届けしますので、目からも、耳からも、新鮮で素晴らしい音楽体験を味わっていただきたいですね」

──今回はスタジオ収録となりますが、ステージで歌う場合との違いは、どんなところでしょうか?

「カメラを意識して歌うところでしょうか(笑)。コンサートでは、お客様の目をジッと見ながら歌ったり、1曲歌うごとに拍手をいただいたりと、客席とのやりとりがありますから。今回は、目の前にお客様がいない」

──コンサートでは、お客様の目を見つめながら歌うのですね!?

「そうですね。ラブ・ソングで“あなた”という歌詞が出てきたら、客席の“あなた”に向けて歌いますよ。公演ごと、曲ごと、全て異なる“あなた”に…(笑)。これがスタジオ収録では、想像の中で歌うことになりますので。もしかしたら、曲そのものの世界観に、より入り込んでいくことになるかもしれません」

──童謡には歌詞が短いものもありますが、そういった場合は、どのようにイメージを膨らませるのでしょうか?

「歌詞には描かれていないバックボーンがあるんです。いつ、どのような理由で誰に向けてこの歌が生まれたのか…。それを調べていくと、とてもドラマティックに歌えるんです。三木露風が書いた『赤とんぼ』には“十五で姐やは嫁に行き、お里のたよりも絶えはてた”という節がありますね。幼い頃に学校で歌っていた時は“お姉さんがお嫁にいったんだ。それは良かったね”ぐらいにしか感じないと思うんです(笑)。ところが実際に歌詞の描かれた背景を調べていくと、非常に悲しいシーンなんだということが分かる。この作業が、歌のイメージを広げてくれるんです」


※続きは月刊Songs2018年6月号をご覧ください。

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