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シリーズ累計680万部を突破する国民的大ベストセラー三上 延の「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズが実写映画化。鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂の店主・篠川栞子(黒木 華)と栞子に魅せられて店を手伝うことになる五浦大輔(野村周平)が、夏目漱石「それから」のサイン本と太宰 治「晩年」の希少本を巡って展開される謎解きミステリーとなっている。過去パートに登場する大輔の祖母・五浦絹子の若き日を演じた夏帆と、絹子に惹かれる小説家志望の田中嘉雄を演じた東出昌大に今作の撮影秘話や現場で感じたこと、さらにオススメの音楽について語ってもらった。
Photo:松井伴実 Text:奥村百恵

──お2人は黒沢 清監督の『予兆 散歩する侵略者』で共演されていましたが、今作で全く異なる役柄でご一緒されてみていかがでしたか?



夏帆「東出さんとは『予兆~』で初めてご一緒させていただいたのですが、東出さんが演じた真壁と私が演じた悦子は対立関係にある役柄だったので、現場ではご挨拶するぐらいでお話しすることはほとんどなかったんです(笑)。東出さんが出演された作品は色々と拝見していましたが、今作でお互いに全く異なるキャラクターとして共演することが想像つかないほど真壁が強烈で…(笑)。今回ご一緒させていただいて、映画とお芝居が本当にお好きな方なんだということが伝わりましたし、すごくストイックに取り組んでらっしゃる印象を受けました。あと、立っているだけで絵になる方だなと。そういう役者さんは希有なので、うらやましいなと思いながら見ていました」



東出昌大(以下、東出)「ありがとうございます。僕は夏帆さんが演じた絹子さんを見ていて、昭和を代表する小津安二郎監督作品や成瀬巳喜男監督作品に出てくる女優さんみたいな雰囲気を感じて、素敵だなと思いました」

夏帆「レトロな髪型と服装のおかげかもしれません(笑)」

東出「レトロな髪型と服装がとても似合ってらっしゃいましたし、そんな夏帆さんが演じた絹子さんを現代のカメラで撮れる喜びや、幸せみたいなものが映像から伝わってきました。それこそ、なかなかそういう雰囲気を出せる方はいないと思うので夏帆さんはすごいなと。今回はじめましてに近い状態でご一緒させていただきましたが、すごくサバサバした少年っぽい部分と少女のような可憐さを併せ持っていて、『天然コケッコー』の少女がそのまま大人になったような方だなと思いました。真っ直ぐですごく素敵な女性です」

夏帆「ありがとうございます。何だか褒め合いになっちゃいましたね(笑)」

──お2人が演じた嘉雄さんと絹子さんのシーンは観ていてドキドキするロマンチックなシーンがたくさんありましたが、それぞれどんなところを大事に演じましたか?



夏帆「あまりにもピュアな2人なので、どういうふうに演じたらいいのかなと最初は迷いました。絹子には夫がいますが、おそらくお見合い結婚なのでちゃんとした恋愛は嘉雄さんが初めてなんじゃないかと思って、三島有紀子監督ともそういう話をしたんですね。それで“初恋”のような初々しさや純粋な気持ちを大事にしながら演じるようにしました」

東出「きっと嘉雄にとっても絹子さんが初恋だったんだろうなと思います。おそらく時代的に若い頃から色々な遊びに連れていかれることもあったと思いますが、本当の意味で女性を愛したのは初めてだったのではないかなと。そういうイメージを大事にしながら演じていました」

──東出さんは監督とどんなお話をされたのでしょうか?

東出「“夏帆さんとなるべく時間を共有してください”とおっしゃっていたので、クランクイン前に夏帆さんと食事に行く機会を作っていただいたり、クランクイン後は、本番前に控室で夏帆さんと少しだけ一緒に過ごす時間が設けてありましたね」

──控室ではお2人でどんなお話をされましたか?

東出「“あまり話すこともないですね”なんてお互い言いながら部屋で体育座りをしていたり(笑)。とにかく2人で時間を共有することが大事で、何も話さなくてもいいのかなと思いました」

夏帆「お芝居について細かく打ち合わせするわけでもなく、私自身は何か話さなきゃと思ってどうでもいい話を振ってみたり(笑)」


※続きは月刊Songs2018年11月号をご覧ください。

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