May J. |
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──まず、『Imperfection』というタイトルのことから聞かせてもらえますか。
「“Perfecton”の反対で“不完全”という意味なので、言葉だけを見るとすごくネガティブですよね(笑)。でも、私自身も不完全な人間なので──まず、デビューして間もない時に“この世界は厳しいな”って痛感したんですよね。『Garden』(2009年5月リリースのアルバム『FAMILY』に収録されている『Garden feat. DJ KAORI, Diggy-MO', クレンチ&ブリスタ』)という曲の時は、曲が持っているパワーに助けられたというか、オリジナル曲がなかなか届かないという現実があって」
──大きな壁を感じていたわけですね。
「2年前にリリースした6枚目のオリジナル・アルバム(『Brave』/2012年12月)は全曲、自分で作詞をさせてもらったんです。私としては全てをさらけ出して作った作品だったのですが、それでもなかなか良い結果が出なくて。その時“これでも届かないんだな”って、初めて本当に落ち込んでしまったんですよね。次にどんな作品を作ればいいかも全然分からなかったし…。それが去年の1月だったのですが、ちょうどその時期にカラオケ対決をするテレビ番組に出させてもらえる機会があって、正直、これが最後のチャンスだなって。全力で挑んで、勝ち続けることで、1人でも多くの方に自分の歌声を知ってもらえるキッカケになったと思うし、その後、“アナ雪”の主題歌(『Let It Go〜』)のお話もいただけて。ディズニー映画の楽曲を歌うことは小さい頃からの夢だったし、それが叶ったことは本当に嬉しかったんですね。すごく落ち込むこともあったけど、こんな不完全な私でもずっと信じてくれるファンの方や仲間がいる。だったら、もっと成長できるように頑張って、前に進むしかない。これからも挑戦していこうという気持ちを込めて、『Imperfection』というタイトルにしたんです」
──不完全な自分を受け入れて、前向きな気持ちに変換することができた、と。考えてみれば、完全な人なんていないわけだし…。
「そうなんですよね。完全になれることなんて、一生ないと思うので。自分には音楽しかないし、それを取ったら本当に何もできない人間なんですよ。その音楽ですら“自分には向いてないんじゃないか?”という気持ちになったし、まさに山あり谷ありですよね」
──アルバムの収録曲からも、“しっかりと歌を届けたい”という思いが伝わってきます。まず最新シングルの『本当の恋』ですが、May J.さんの歌のパワーが真っ直ぐに感じられるバラードですね。
「ドラマの挿入歌ということもあり、ドラマのストーリーに沿って制作した曲ですね。今の時代、こういうシンプルな楽曲をシングルの表題曲にすることもなかなかないと思うんですけど、“歌力(うたぢから)”を軸にしました。今回の楽曲で初めてMay J.のことを知ってくれている方も多いと思うし、そこをしっかり伝えるという意味でも重要な曲だと思います。飾りを付けないで、歌詞を理解して、それを伝えていくというか」