スキマスイッチ *撮りおろし6ページ |
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──『Ah Yeah!!』(2014年7月)のインタビュー時に“とにかく曲を作りたい! っていう気持ちが強い”と言っていましたが、その勢いのまま制作に入った感じですか?
大橋卓弥(以下、大橋)「そのつもりだったんですけど、それが僕はつまずいて(笑)。たまに、曲を書いても書いても“いいのか悪いのか、よく分からない”みたいなモードになることがあるんですけど。自分の曲だけじゃなく、好きな曲を聴いても、何か感情が高ぶらないというか」
──ビートルズを聴いても。
大橋「あ、ビートルズだなっていうくらい、別に何とも感じない(笑)。でも経験上、そういう時は何もやらずにいるよりは、曲を書き続けちゃったほうがいいので。まぁ書いても、できたものに対して感情は高ぶらないんですけどね」
──そうなる理由に心当たりは?
大橋「たぶんちっちゃなことなんだと思います。例えば曲を作るのを楽しみにしてたのに、“あれ!? 思ったよりしっくりこない”って瞬間に、自分で作った落とし穴に自分でハマっちゃう、みたいな」
常田真太郎(以下、常田)「今回は『星のうつわ』の時も、だったよね」
大橋「あ~、そうだった。去年の終わりはノリノリだったんですけどねぇ」
常田「難しい人かよ(笑)」
大橋「これがねぇ(←人差指でアップダウンをなぞる)。去年の年末に『ゲノム』とか『life×life×life』とかをノリノリで書いていたのが、年明けにはヘンなモードになっちゃってて。でもネガティブな感じじゃなく、自分でハードルをどんどん上げていってるようなところがあったんですよね。にもかかわらず曲は書きたくなるので、それも含めて、ある意味楽しんでやってました」
──そのモードは、わりとよくあることなんですか?
大橋「ありますね。前作の『musium』(2011年10月)は、何のストレスもなく“あ、でき上がった”っていうアルバムだったんですけど。それに比べると今回のほうが、“作ったな~”っていう感じはありますね」
──そういう時、常田さんは横で見守るしかないんですか?
常田「ですね。“あ~、分かんないんだなぁ、曲はできてるのになぁ、分かんないんだなぁ、いいのになぁ”みたいな(笑)。だからいい曲は、あとで“やろうよ”って言ったり、先にアレンジや歌詞を考えて手を付けちゃったり、ゴリ押ししてやることにしたり。それでも乗ってこない時は、ボツになりますね。でも『星のうつわ』は“もう無理だわ、何とかして”って言われて。ただ、その時は僕自身も、何かピンときてなくて」
大橋「そうそう。シンタ君(常田)、最初は“う~ん、作るか…”くらいの感じだったもんね。だけど何か手応えはあったんですよ、この曲。いや、これ絶対良くなるって思って。で、シンタ君に任せたっていう」
常田「あれこれ考えてるうちにコードを変えてみたら、“これ、いいじゃん”ってことになって。そこからエンジンがかかったっていう、ちょっと珍しいケースでしたね」
大橋「コードが変わった瞬間、ふわっとこう、扉が開いた感じがして。でも、『星のうつわ』はホントにスランプだったのかもね」
常田「そうかも。歌詞もそうだったからね」
──この曲は、とても大きなテーマを歌っていますよね。
大橋「人間愛みたいな、大きな愛をテーマに書くといいんじゃないって話していて。で、シンタ君が叩き台の歌詞を書いたんですけど、珍しく“ちょっともう一回、もう一回”って全部書き直してましたね」
──2人とも、つまずいた曲だったと。
常田「頭の中ではでき上がってるのに、それが上手く歌詞にハマらなくて。この曲はメロディーが短いので、思ってることを乗せようとするとメロディーが全然足りないんです。かといって収めようとすると、説明しすぎて歌詞じゃない…ってことになって。頭の中ででき上がってるのに形にできないことが口惜しくて、何度も書き直しましたね」