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昨年3月にバンド結成当初からのメンバーだったギタリストの湯浅将平が脱退。小出祐介、関根史織、堀之内大介の3人体制となったBase Ball Bearから7thアルバム『光源』が届けられた。「3人のやりとりが以前よりもさらに密になった」(小出)という立体的なバンドサウンド、そして、10代の青春時代を俯瞰しながら描かれる歌がひとつになった本作は、このバンドの新たなスタートをリアルに体現している。
Photo:松井伴実 Text:森 朋之

──ベスト・アルバム『増補改訂完全版「バンドBのベスト」』(2016年9月)を引っ提げた全国ツアー(2016年11月~2017年3月)は、ギタリストの弓木英梨乃さん(KIRINJI)を迎えて行なわれました。全36本のロングツアーだったわけですが、手応えはどうでした?



小出祐介(以下、小出)「ここまで長いツアーって、今までやったことがなかったんですよ。ベスト盤をリリースしたタイミングだったし、挨拶まわりみたいな意味もあったと思うんだけど、やって良かったですね」

関根史織(以下、関根)「弓木さんが参加してくれたことも大きいですね。3人体制になってからは、バンドのギター/ボーカルの方(フルカワユタカ/ex.DOPING PANDA、石毛 輝/lovefilm, the telephones、田渕ひさ子/toddle、ハヤシ/POLYSICS)にサポートしてもらってたんですが、弓木さんはそういうギタリストではないから、最初はどういう感じになるか分からなかったんです。実際にやってみたら本当に素晴らしいギタリストだったし、何より、私達と一緒になって汗をかきながら演奏してくれたことがすごく嬉しくて」

──ファンの反応はどうでした?

小出「良かったと思いますね。(ギタリストが脱退したことで)不安を感じていたファンの方もいたと思うんだけど、ライブを観たら払拭されたんじゃないかなって」

堀之内大介(以下、堀之内)「うん」

──湯浅さんが脱退したあとも、バンドはずっと動いていたし、そこでファンの人達も安心したと思うんですよね。前作『C2』(2015年11月)のツアーがあって、ベスト盤のリリースがあって、そのまま今回のツアーに突入して。

小出「休まなかったのが良かったんでしょうね、確かに。『C2』のツアーはフルカワさんにサポートしてもらって、その後の野音(日比谷野外大音楽堂)ライブは石毛さん、田渕さん、ハヤシさんに参加してもらって。ゲストのギタリストが何人も登場するって、ロックバンドとしてはかなり歪(いびつ)だったと思うんです。ただ、そういう現実もバンドのストーリーとして見てもらいたいなと。3人になってもがいている状況にフタをして見えなくしちゃったら、バンドのリアリティーみたいなものを含めて見てもらってきていた今までの自分達を否定することになると思ったし…。だからこそ“逆に今の状態を見せるべきだ”と思ったんですよね。歪な状況をエンターテインメントに持っていけるかどうかというのが、バンド力の見せ所ではないかと」

関根「活動を止めないっていうことについては、3人ともサクッと“そうだよね”という感じだったんです。ツアーをやるのかどうか、すぐに決断しなくちゃいけない状況だったし」

堀之内「じっくり考える時間があったら、違った展開になってたかもしれないなって、今になってみると思いますね。結果的には、間髪入れず“ツアーをやろう”と決めたことが、今に繋がっているんだろうなと」

──今回のアルバム『光源』も、この1年間の経験がなければ生まれていなかったと思います。前作『C2』のあと、音楽的にはどんなビジョンがあったんですか?

小出「実は、行き詰まってたんですよね。『二十九歳』(2014年6月)、『C2』と作ってきて、4人でやるタイトなギターロックということで言えば、行き着くところまで行ったという感覚があったんですよ。だから、この路線を突き詰めた先に面白いものがあるのかどうか、正直ちょっとあやしいなと。制作自体は2016年の1月から始めて、色々と試行錯誤していたんですけど、途中で湯浅が抜けることになったから、その時に作っていたものはいったん“ナシ”にして」


※続きは月刊Songs2017年5月号をご覧ください。

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