加藤ミリヤ *撮り下ろし4ページ |
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──まず、ディズニー映画『モアナと伝説の海』日本版エンドソングのお話が来た時はどんなお気持ちでした?
「え? 私!? って感じでした(笑)。映画の中でも“なぜ私なの?”ってセリフがあるんですが、本当にその通りで。まさか自分がディズニー映画と関わる仕事をする日が来るなんて考えたこともなかったけど、映画を観たら“だから私を選んでもらったんだな”っていうのが分かった気がしました」
──というと?
「この映画のメインターゲットは、20代〜30代の女性なんです。つまり、私と同世代。子どもはもちろん好きな世界観だと思うけど、この作品に込められた“一歩踏み出す勇気を持つ”、“そこから自分の人生を変えていくんだ”という力強いメッセージを、ただ歌うだけではなく、同じ世代の女性として“伝えて”いかなきゃいけないんだなって感じたんです。オーディションを受けたのは中学生ぶりだったけど、とてもいい経験をさせていただきました」
──日本版エンドソングを歌うことが決まった時には、もうアルバムの制作は始まっていたんですよね?
「はい。今回はアルバムを作ろうというよりも、日々曲を書いて録りためていたんですね。『最高なしあわせ』という曲がまず最初にできて、そこから今年の2月くらいまでずーっと作っていました」
──その『最高なしあわせ』は昨年12月にシングルとしてもリリースされましたが、とてもコンセプチュアルな作品ですね。
「これだけ世の中に色んな音楽がある中で、自分は何がやりたいのかなって、日々自問自答してたんです。私じゃなきゃいけないことって? って。私のスタイルはわりと打ち込みで音を作るって感じだったけど、何となく今はそういう感じじゃない。誰もが“本当にいい曲だね”って思うような曲を作りたいと思ったんです。自分より上の世代の人からもそう思ってもらえるような“いい曲”を作ることが、たぶん自分が今やりたいことなんだなって。ちょうどその頃、玉置浩二さんのライブに行ったりしてたんですね。めちゃくちゃ好きなので。音で派手にしていくのではなく、歌がどんどん心に訴えかけてくる。これって理想だなぁって思ったんですよ。そこから『最高なしあわせ』ができて、『愛の国』や『幻』もできていったんです」
──なるほど。
「歌がダイレクトに伝わるとか、歌声が一番に引っかかってくるようなものを作りたい。音の成り立ちとかじゃなく、歌がいいとかメロディーがいいとか、そういうことにこだわってやってみたいとなると、音もそぎ落とされていくし、生音メインで考えたりするようになっていったんです。最近たまにギターで曲を書いたりもしてるんですけど、それこそ『幻』はアコギで作りました」
──ギターで作ると違いますか?
「違いますね。弾き語りをしながら作るので、メロディーがわりと単純になって、覚えやすくて分かりやすい感じになるんですよ。普遍性がある曲ってその点が一番大事じゃないですか。フリースタイルで作ってるとどうしても難しくなってしまうけど、ギターを触ってると結構いい感じになるんだなってことを発見しました」
──今“普遍性”という言葉が出ましたが、今回のアルバムのキーワードでもあるのかなと感じました。
「そうですね。今までの私のアルバムの中で、一番普遍性を意識した作品です。いわゆる4つ打ちなものとかダンスミュージックのようなものは最初から入れるつもりはなく、なるべく生音で再現できるものや、打ち込みであっても必ず生音で録り直すみたいな感じで作っていったんですね。普遍性を意識しながらも、自分としては1曲1曲が新しい挑戦になっていきました」