http://www.kurokinagisa.jp/
ちょうど1年前に咽頭ジストニアによって音楽活動の休止を発表した黒木渚が、ニュー・シングル『解放区への旅』をリリースし、待望の音楽活動復帰を果たすこととなった。歌手にとっての命ともいうべき喉、そして声の不調とどう向き合ってきたのか。作品に込めた思いと共に、その心境を語ってくれた。
Text:山田邦子

──音楽活動再開ということで、安心しました。

「ありがとうございます。何となく喉に違和感を感じながらも頑張って去年の8月まで活動したんですが、その後、咽頭ジストニアの機能性発声障害だということが分かったんです。苦渋の決断ではあったんですが、長く歌い続けることを考え、活動を一旦ストップしてリハビリをすることにしました」

──ジストニアというのは神経の疾患だそうですが、歌を歌う方には多く見られる病気だそうですね。過去にはコブクロの小渕健太郎さんや、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんなども治療をされていました。

「ピアニストやゴルファーの方の手、足や首などのジストニアは昔から有名だったみたいなんですが、それが声帯を動かす筋肉にも起きるっていうことが分かったのはわりと最近らしいんですよ。治療法もまだ発見されている途中のようで、私も1年間“これ、良さそう!”と思ったものは全部やってきました」

──歌う人にとっての喉、そして声は命みたいなものですよね。そこに症状が出てしまうなんて、想像しただけで震えます。

「そうですよね。私は、すごく近い親族が亡くなったみたいな気持ちでした。自分に起きたことだけど、死んじゃったのは身近な人で自分は生きてるみたいな、すごく不思議な悲しさがあったんです。ちょっと現実を受け止められないような感じがしばらくありました。それを自覚して、リハビリをやるぞっていうモチベーションに持っていくまでは結構落ち込んだりもしましたし。歌手なのに何で声をやられるんだっていう自分と前向きな自分、最初は2つに分裂してたけど、だんだんと前向きなほうが強くなったんです。くよくよしてるのが面倒臭くなってきたというか(笑)」

──(笑)。



※続きは月刊Songs2017年10月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く