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桐嶋ノドカのニュー・シングル『言葉にしたくてできない言葉を』は、小林武史、ryo (supercell)のダブルプロデュースによる作品。自身が主演を務める映画『爪先の宇宙』の主題歌に起用された表題曲は、ギターロックとクラシカルなアレンジが共存するサウンド、感情の動きと重なるドラマティックなメロディー、エモーショナルなボーカルがひとつになったナンバー。一時期は歌うことに迷いが生じていたという彼女はこの曲をキッカケにして、シンガー/アーティストとして活動していく意義を掴み直したようだ。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:森 朋之

──1stシングル『言葉にしたくてできない言葉を』がリリースされます。1stミニ・アルバム『round voice』(2015年7月)以来、約2年4か月振りの新作ですね。



「『round voice』を出したあとも色々なところで歌ってきたのですが、去年の後半くらいに歌を歌いたくなくなった時期があったんです。そこから一生懸命に手探りを続けて、このシングルに辿り着いたという感じですね」

──“歌いたくない”と思った理由は何だったんですか?

「色んな理由があったと思いますけど、はっきりしたキッカケはわからないんですよね。ただ私にとって歌は、人生の燃料なんです。中学生の時に歌と出会って“これは私の生きる道だ!”と思って、それ以来、10年間毎日歌い続けて。“こんなに命を燃やせるのは歌以外にない”という衝動で突っ走ってきたけど、歌を職業にしてから“果たして私はこれで幸せなのだろうか?”と感じるようになってしまって。歌以外のことだったら“仕事だから”と割り切って頑張れると思うのですが、歌は生命力の源だから、そういうわけにもいかなくて」



──そういう思いは他の人に話したりしてたんですか?

「いえ、基本的には1人で考えてましたね。もともと私、弱音を吐かずに頑張ってしまうほうだったんですよ。“今の自分にはできないかも”と思っても“やってみます”って引き受けて。“できないです”とか“わからないです”と言うと、“じゃあ、いいです”って周りの人が離れていっちゃうような気がして。だから“完璧に歌わなくちゃいけない”“全部できなくちゃいけない”って頑張ってたのですが、さすがにその時は“歌えないかもしれないです”って話したんですね。そうしたら、私が初めてそういうことを言い出したからなのか、すごく親身に話を聞いてくれたり、助けてくれようとする人が増えたんです。“どうしたらいいかな”“どうやって曲を作っていこうか”って一緒に考えてくれて。“歌えない”って言って初めて人がいっぱい集まったというか…。そういう時に出会ったのが、今回のシングルに参加してくれたryoさんなんです。私は“歌は続けると思うけど、まだちょっと気力が出なくて”という状態だったんですけど、ryoさんは今までの私の歌を全部聴いて、分析してくれてたんですよね。何が良くて何が足りないのか、どういう特徴があって、何をプラスしたらもっと良くなるのか。そういうことを話してくれたのがすごく嬉しくて。その後、かなりの時間をスタジオで一緒に過ごして、曲作りを進めていって。その過程でだんだんと“歌いたい”という気持ちになっていったんです。助けられましたね、本当に」

──ryoさんとの出会いから、ryoさん、小林武史さんのプロデュースによる今回のシングルに繋がったと。

「はい。最初にできたデモは2曲目の『夜を歩いて』(映画『爪先の宇宙』挿入歌)なんです。ryoさんのデモは打ち込みとボーカロイドなのかなと思っていたら、アコギを弾きながら歌っていて。曲調も想像したものと違っていたんですよ。かなり熱い感じというか」


※続きは月刊Songs2017年12月号をご覧ください。

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