http://www.office-augusta.com/sukimaswitch/

オリジナル・アルバムということでは『スキマスイッチ』以来の3年4か月振り。その間、新作にとらわれない選曲によるライブツアー「スキマスイッチ TOUR 2016 "POPMAN’S CARNIVAL"」や、12組のアーティストをプロデューサーに迎えたリアレンジ&リプロデュース・アルバム『re:Action』をリリースするなど、また新たなスタンスでの活動が注目されていたスキマスイッチ。そんな彼らが満を持して作り上げた7作目のオリジナル・アルバム『新空間アルゴリズム』は、原点回帰がキーワードだったというだけあって、スキマスイッチのスキマスイッチたる所以とも言うべき、この2人にしか作れない音楽に溢れた1枚となった。
Photo:竹中圭樹(D-CORD) Text:前原雅子

──オリジナル・アルバムとしては3年4か月振りになるんですね。



大橋卓弥(以下、大橋)「自分達のユニット名を冠にした前作の『スキマスイッチ』というアルバムで、一度全部やり切った感があったんですよね。これでもうスキマスイッチとしてやることはないという意味じゃなくて、その段階での全てを出し切ったというか。“今のスキマスイッチはこれです”っていうものができて、だからこそユニット名をタイトルにしたんですけど。そういうアルバムだったので、そこからすぐに“じゃあ次は何を作る”っていうふうには考えられなくて。ちょっと違う活動をしながら、色んなことをインプットする期間にしたいなと思ったんです。というか、インプット期間がないと作れないと思って」

──それでオリジナル・アルバムと連動しないツアーをしてみたり、リアレンジ&リプロデュース・アルバム『re:Action』を制作したり。



大橋「そもそもシングル出してアルバム出してツアーをやって、その合間にまたシングル作ってアルバム作って、みたいなルーティンを一回壊したかったんですよね。自分達のリズムとしても、聴いてくれる人にとってのリズムとしても。長年そのサイクルでやってるうちに、“ツアーが終わったってことは、きっと何か作ってるんだろうな”っていう予定調和みたいなことにもなっていたので、一回そうじゃないことにしたかったというか」

──いつの間にかお互いに了解するようになっていたことを、壊してみたかった。

大橋「そうですね。そういったことを経て、次のアルバムを作るにあたっての話をしていた時に、原点回帰っていうワードが出てきて。デビューしてすぐに3部作として出したアルバムみたいに、“こういうのも面白そうじゃない?”“じゃ、それやってみようか”っていう作り方でやってみようってことになったんです。初期のような作品を作るっていう意味じゃなく、もう一回、その当時の気持ちを持ちながら制作してみようよって」



常田真太郎(以下、常田)「なので今回は結果的にそうなったというより、それを狙って違うやり方をしてみた感じでしたね。卓弥も言ってましたけど、活動のサイクルの予測のみならず、もっと言うと曲調すらも予測されるようになってたり(笑)。“前回がアップテンポだったから、次はバラードだよね”みたいなことがファンクラブの書き込みにあったりして。確かにそういうふうにやってきたな、っていうのもありましたし。そういう意味で言うと、『スキマスイッチ』というアルバムはシングル、アルバム、ツアーっていうルーティンでやった時の、その段階での集大成というか。だからそうじゃないやり方でアルバムを作ってみることで、自分達もワクワクしたかったし、何ができるのかなぁ、どうなるのかなぁって楽しみだったんですよね」

──自分にワクワクすることは、キャリアを積んでくると減ってくるものですか?

常田「自分のやることに予測がついてきますからね」



──それをキャリアと言うのかもしれないですけれど。

常田「また怖さもありますし。これをやったら理論的におかしいんじゃないかとか。色々知っちゃうと、何かこう及び腰になるんですよね。それで理論で武装したり、言葉が多くなっちゃったりするという」

──けれども今回は、ここ最近とは舵を違う方向にグッと切ってみた。

常田「あのまま新しい曲を作ったら、やっぱり前のままの感じが出るでしょうし。といって変えなきゃいけないなと思いながら、同じルーティンで新しいアルバムを作ることもストレスだと思ったので。例えばルーティンを一度壊した中で前と同じやり方をしてみるとか、逆に全く違うやり方をしてみるとか。全然違うモチベーションでやってみることで、何か違うものが生まれるんじゃないかっていうのがあって。結果的には原点回帰みたいな言葉が出てきたんですけどね」


※続きは月刊Songs2018年4月号をご覧ください。

ページを閉じる

Topページを開く