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ファンキー加藤の3枚目となるアルバム『今日の詩』(きょうのうた)が完成した。日々の1シーンを彩るBGM、踏み出す一歩に追い風を送る応援歌、自分だけの主題歌など、聴く人の日常に寄り添うような距離感の11曲。作り手である彼自身もまた、音楽が自分の日常であることを改めて感じながらの制作だったという本作について、じっくりと語ってくれた。
Photo:松井伴実 Text:山田邦子

──ソロ・デビューから5年目に突入しましたね。



「はい。リリースもそうですが、昨年もツアーをやらせてもらえて、今年は地元の八王子で(ワンマンライブイベント)“I LIVE YOU 2018 in HACHIOJI”も開催。すごくいいリズムを保てている気がしています」

──3枚目のアルバム『今日の詩』も完成しましたし。

「前作の『Decoration Tracks』で、楽曲制作に関しては燃え尽きた感があったんです。もうカラッポになってしまうくらい出し惜しみせずにやれたんですけど、逆に“じゃあ、これからどうしよう?”って不安も生まれて。結局約1年後(昨年の11月)に(8thシングル)『冷めた牛丼をほおばって』をリリースすることができたんですが、続けていくって一番難しいし、一番大切なことだなって実感しました。Keep on moving。それって尊いことなんですよね」

──なるほど。

「今回アルバムを作るにあたって、ちゃんと音楽を生業としているミュージシャンとして、ちゃんと決められたリリース・タイミングに合わせてアルバムを作ろうって気持ちでいました。もちろん今までもそういう気持ちはありましたけど、もうちょっとアーティスティックな部分が先走ったり、パッションでの物作りだった部分もあったんですよ。でも今回は、ちょっとだけ自分の中のベクトルが違ってた。ちゃんと“いいアルバムを作るぞ!”“皆さんに喜んで受け取ってもらえるようなアルバムを作るぞ!”って気持ちで作ったんです」

──比較のためにあえてこういう聞き方をしますけど、それは丸くなったという意味ではなく?

「あぁ、でもそれに対して僕は否定しないです。そんなに悪いことじゃない気がしているから。それが自然にそうなったのであれば、という意味ですけどね。だって、いつまでも川の上流にとどまっているようなゴツゴツした岩じゃなくて、下流へと自然と流されていった小さくしなやかな丸い小石でも、存在意義があるならいいかなと思うから」

──そういう気持ちの変化が、今作にも反映されているわけですね。

「そう、だからすごくナチュラル。曲を作るにあたっても、音楽がより身近なところにある気がしていました。スタジオでの制作もね、僕の日常に当たり前のようにあったし。さっき音楽を生業としているって話をしましたけど、会社で働く人とか、バイトを頑張ってる人と同じように、音楽を職業としている俺の日常として、このアルバムに向き合っていました」

──タイトルに込められた思いもそういうところからでしょうか?



「それはありますね。“今日”も“詩”もとても好きなワード。僕にとっても聴いてくださる方にとっても、何気ない“今日”という1日に寄り添って馴染んでいくような、日常のBGM、主題歌、登場曲になっていくような“詩”でありますようにという願いを込めました」

──サウンド面では新しい試みもいくつかありますね。アルバムのリリースに先駆けて配信リリースされた『失恋の詩』と、『You are the Light』のサウンド・プロデュースはSPICY CHOCOLATE。

「事務所が同じということで普段から仲良くさせてもらってるんですが、お酒の席の雑談から始まって“じゃあ、ぜひ!”ってシェイクハンドした感じでした。『失恋の詩』は、最初は桜の季節の別れってことで動き出したんです。でも僕がこのサウンドとメロディーにどんどん引き寄せられて、気づいたら10代20代のフラれた記憶ばかりが蘇ってきて。すごく切ないけどどこかカワイらしいみたいな思い出を、流れに逆らわず書いていきました。『You are the Light』もそう。力強さの裏側にある儚さとか泣いてるメロディーみたいなところも感じ取れたから、僕と君ではなく、俺とお前にして荒々しいラブソングを書きました」


※続きは月刊Songs2018年4月号をご覧ください。

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