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現役女子高生シンガー・ソングライター、坂口有望が作る歌は、多感な時期だからこそ感じる不安や、物事をちょっとシニカルに捉えて、独特の視線で鮮やかに切り取った、等身大の音楽だ。“青春の標識”という意味をまとわせた1stフル・アルバム『blue signs』は、14歳から16歳までの(※現在は17歳)、彼女の日記でもある。
Photo:荻原大志 Text:田中久勝

──記念すべき1stアルバム『blue signs』、どんな気持ちで制作に臨みましたか?



「今まではシングルでしか出したことがなかったので、アルバムを出すってどういう感じなんやろうって思っていたのですが、本当に自分の名刺代わりの、自分のことをわかってもらえる1枚ができたなって思いました」

──昨年メジャー・デビューして、ライブもやり、今回こうして1stフル・アルバムを発売し、2年目に入って、活動をしていく上で心境の変化のようなものはありましたか?

「メジャー・デビューして、インディーズの頃と比べると私のことも音楽も広まっていくスピードが速くて、そんな中で、自分がホンマに思っていることが、たくさんの人に広がっていってほしいなって。今までは少し大人っぽく見られたいとか、こういうことを考えていそうって見られたいとか思いながら歌詞を書くことが多かったのですが、やっぱり自分が思っていることを、素直に歌詞にしてそれを評価されるほうが、気持ちいいってだんだん思うようになりました」

──ラブソングとかは特に背伸びしていた感じですか?

「ラブソングだけではなく、どの曲でも、大人っぽく冷静に物事を捉えているように見られたいって気持ちが14歳、15歳の時は思っていました」

──デビューの時に“ビッグになりたい!”と言っていたのが印象的でした。

「具体的なことを言うと、いつかそれを達成してしまうと、すぐに調子に乗ってしまう性格なので、どこまでも終わりがない夢を掲げているほうが、自分には合っていると思いました」

──デビューしてから、友達や知り合いからも、曲への感想やライブを観た感想など、色々な声が届いていると思いますが、その中で印象に残っている言葉はありますか?

「曲を書き始めた頃から、歌詞を読んだ友達から“こんなふうに考えてたんや”って言われることが多くて。私は学校ではバカなことばかりやって、友達ともふざけてばかりなので、曲を書かなかったら、本当にただのアホな子になってたと思う(笑)。学校の自分とは違うことばかりを曲にしていたので、自分がバレるというか、最初は恥ずかしかったです。でも変わらず友達でいてくれるのが嬉しいです」

──大人でも子どもでもない、まさに多感な時期に感じた怒りや不安、喜び、坂口さんの息遣いがパッケージされていて、成長物語を見ているようです。

「色々なことをたくさん感じる時期やから、自分の考え方やものの見方がコロコロ変わっていきました。今思っていることを書き留めておかないと、忘れてしまうと思って歌詞を書いていて、それは今も変わらないので、私の14歳から16歳までの日記のようなものだと思っています。大学生のファンの方に“有望ちゃんの曲を高校生の時に聴いていたら、自分もこんな感情があったっていうことを、書き留めてたのにな”って言われることがあって、同世代の人に聴いてもらえるのはやっぱり嬉しいし、10代のあの瞬間に、こんな感情を持っていたことを思い出すキッカケになってくれているのが嬉しいです」

──等身大の坂口さんが詰まっているという意味では、濃い1stアルバムになっていますね。

「そう言っていただけると嬉しいです(笑)」


※続きは月刊Songs2018年5月号をご覧ください。

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