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SILENT SIREN(サイサイ)の15枚目となるシングル『19 summer note.』。表題曲はサイサイ恒例の夏ソングだが、どこか甘酸っぱくて儚いような世界観を表現した新たなアプローチが印象的だ。楽曲完成までの経緯に加え、メンバーが19歳の時に聴いていた音楽についてもインタビュー。カップリングに収録されている『天下一品のテーマ』にまつわる貴重なエピソードなど、今回もたっぷり語ってくれた。
Photo:大庭元 Text:山田邦子

──SILENT SIRENはこれまでもたくさんの夏曲がありましたが、今年はこの『19 summer note.』。盛り上がってハジける夏というよりも、ちょっとノスタルジックな切なさを感じる仕上がりですね。



すぅ「そうですね。SILENT SIRENは夏に戦える曲が多すぎて(笑)、例えばフェスの時に全部ぶち上げ系の夏曲でいけるくらいあるんですよ。でも、それぞれの役割というのもあって。だからそういう役割の中で、まだ作ってない夏曲を今回はやりたいなと思ったんです。サイサイは今ちょうどツアー中なので、どんなことをやったらお客さんが盛り上がるのかなってことを個人的に色々考えていたんですけど、今の自分の答えがこの曲だったんです。『チェリボム』みたいなのも盛り上がるんだけど、それとはまた違う雰囲気で、お客さんが好きそうな、グッとくるポイントをサイサイなりに落とし込んでみたんです」

──イントロのフレーズから、気持ちをグッと持っていかれますよね。

すぅ「そうそう。圧倒的なイントロと圧倒的なメロディーっていうテーマでやったんです。結構苦戦したんですけどね(笑)。私が作る曲はコード進行の幅があまりなくて大体いつも似た感じなんだけど、その中でメロディーを5パターンとか作って、いいところを組み合わせていくんですね。今回もコード進行はこんな感じがいいっていうのはざっくり決まっていたけど、エモーショナルなメロディーかつキャッチーさも欲しいっていうところで悩んだんです。まだコード進行と歌詞しかない中で、とりあえずループで流しながら適当に歌ってたんですけど、バチッとしたAメロのメロっていうのが最終段階までないままのヌルッと感が、逆にいい気怠さになっていきました。で、Bメロとかサビはみんなでバチッと入るというメリハリが生まれて」



あいにゃん「今回はこの1曲に対してじっくり時間をかけることができたので、各々が今まで以上に編曲にも関わったんです。みんなのこだわりがぎゅっと詰まってる。『八月の夜』みたいなエモさもあるけど、またそれとも違う新しさがあるというか」



ひなんちゅ「すぅが2曲くらい出してたんだけど、もうひとつのほうもかなりサイサイっぽい、掛け声重視系の夏曲だったんですね。でもこっちのほうが、今の自分達には合ってるなと思いました。盛り上がりとかライブ映えだけを考えて作ってる曲もいっぱいあったけど、この曲は意図的に盛り上がろうとするのではなく、自分達の好きなフレーズを詰め込んだ曲を気持ち良く演奏することによって、みんなもノってくれる。“こういうノリでお願いしますね”じゃなくても、きっと楽しそうにしてくれるんじゃないかってところまでイメージできたというか。実際、ライブでやってて楽しいんですよ。この曲」

あいにゃん「新曲を初めてやる時っていい意味ですごく緊張するんですけど、なぜかこの曲はスッ…と入ってガッ! とやれたんです。お客さんもすぐに受け入れてくれて、動きとか掛け声とかもすぐにできてた。サイサイの定番曲になるなって感じましたね」



ゆかるん「夏だ! ワーッ! て盛り上がるだけじゃなくて、切なさがあるところがすごく好きなんです。歌詞ひとつ見ても、きっと聴く人の年齢によって感じ方って全然違ってくると思うんですよ。私も昔を思い出すじゃないけど、色々考えちゃった(笑)」

すぅ「考えちゃったんだ(笑)」

ゆかるん「あの時は分からなかったけどこういうことだったのかとか、振り返ってみると一瞬一瞬が本当に儚かったことに気づくとか。そういう気持ちにもさせてくれる、これまでになかったサイサイの新しい夏曲だと思います」

──今回、歌詞に関しては?

すぅ「“最後の1ページには何が書いてあった?”ってフレーズがあるんですけど、10代の最後、19歳の一番最後のページっていう意味。何が書いてあったかは分かんないけど、きっとこのままじゃいられないからここから変わらなきゃっ…てところで大サビが来る。問いかけつつ、自分に対しても何か変化の季節なんだって言っている。…でも戻れないなぁ、19には(笑)」

ゆかるん「戻れない、戻れない(笑)」

すぅ「戻れはしないけど、19の時に感じていたフレッシュさとか、焦りとか、ドキドキは死ぬまで続けていたい。そう思って作ったのが、この曲。だから19歳の歌っていうよりも、19歳の時の一瞬を取り戻そうと思って作った曲なんです」


※続きは月刊Songs2018年7月号をご覧ください。

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